高速シャッターによる弊害?

 SD1 Merrillは最高1/8000秒のシャッターを切ることができる。他メーカーのカメラも中級機以上はたいてい1/8000まで対応しているだろう。ミノルタなんかは1/12000まで対応しているものもあるようだ。
 私はNDフィルタを持っていないので、ピーカンの屋外で明るいレンズを絞り開放で使いたい時などはこの高速シャッターは重宝する。
 しかし、以前撮った写真で高速シャッターを使用することによる弊害もあることがわかった。

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【SIGMA SD1 Merrill, MACRO 180mm F2.8, @180.0 mm F8.0, 1/5000, ISO100, 0EV】

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【SIGMA SD1 Merrill, MACRO 180mm F2.8, @180.0 mm F5.6, 1/6000, ISO100, 0EV】

 どちらもMACRO 180mmを使用し、逆光で1/5000、1/6000の高速シャッターを用いた。
 これらの写真の水面をクロップしたものが下の画像だ。

上の写真のクロップ

下の写真のクロップ

 見ての通り、上の写真は縦に、下の写真は横に光条が伸びている。特に上の写真はひと目で分かる。
 どちらも画像中央部を切り抜いているが、周辺部も一様に光条が出ている。

 結論から言えば、これはフォーカルプレーンシャッターによる回折の影響と思われる。
 フォーカルプレーンシャッターの仕組みを知らない人はこの動画を見てほしい。
 SD1 Merrillのストロボ同調速度は1/180であり、それより速いシャッタースピードは先幕・後幕のスキマを狭めて実現している。1/5000、1/6000ともなればスキマはかなり狭いはずだ。
 レンズでも絞りすぎれば回折による小絞りボケを生じるため、シャッター幕もスキマを狭めすぎれば回折の影響が出てくることは想像に難くない。また、横位置の写真で縦に、縦位置の写真で横に光条が伸びているため、シャッター幕による回折と考えて理屈は合う。

 この現象のおかげで、高速シャッター時においてはハイライト部での光条の発生、短辺方向の解像度の悪化が生じているはずだ。
 しかし光条については1/5000の上の写真よりも高速なはずの1/6000の下の写真のほうが目立っていない。ハイライト部の輝度がよほど高い時にしか目立たないのかもしれない。
 解像度の低下については私は気になったことがない。実用上問題があるかは疑問だ。

 世に出ているカメラの最速シャッタースピードが(一部の例外を除いて)軒並み1/8000なのは、技術的・コスト的問題以外にも回折の問題もほんの少し考慮されていたのかもしれない。
 もちろんここに書いた内容はフォーカルプレーンシャッターでの問題であり、同じ機械式シャッターでもレンズシャッターでは問題とならないと思われる。また、電子シャッターならば全く関係ない。静物相手に高速シャッターを用いたいときは電子シャッターを使うのがベターかもしれない。SD1にはそんなものないが。
 しかし「シャッター幕 回折」でググっても同じような現象に見舞われた人が見つからない。よほど珍しい現象なのだろうか。

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