BlackRapidタイプの速写ストラップ


 BlackRapidをはじめとする速写ストラップ、私はあまり好きではないのだが手元に2本揃ったのでレビューを書いてみる。
 手元にあるものは
・CarrySpeed FS-PRO
・FotoSpeed F1 Black Kingkong
 の2本だ。BlackRapidは持っていない。

・BlackRapid
 まずは速写ストラップの草分け的存在、BlackRapid。
 所有していないが、モノは見たことがある。そして見た時点でこれだけは買うことはないと結論づけた。
 その最大の理由はカメラとの接続部であるファステンの構造だ。
 単に三脚穴にねじ込んだ金具にカラビナを取り付けるだけの構造であり、この点にはなんの工夫も見られない。
 最大の問題は落下のリスクが高いと思われることだ。ファステンに回転の力が加わると容易に緩んでしまう。一応カラビナ部分が回転して力を逃がす構造にはなっているが、カラビナは丸くないため何かに引っかかる可能性がある。引っかかったまま力が加わればファステンが緩むしかない。
 実際に「BlaskRapid 落下」でググれば事例は沢山出てくる。もちろん速写ストラップの中で最もシェアが高いであろうBlackRapidは他に比べ母数が違うが、それを考慮しても落下事例が多いBlackRapidに高価なカメラ・レンズを任せたいだろうか?
 他にも購入しない理由は何点かある。
 まず三脚穴を専有する故に三脚との併用ができない点。これはCutomSLRのM-PLATE PROなどを併用すれば解決する問題ではある。
 更にストラップ部分にも何ら工夫がない点。これは好みにもよるだろう。
 しかしBlackRapidが登場してから今まで、ファステンの構造もストラップもろくな工夫も施していない。他社製品を訴訟で潰す前にやることがあるのではないだろうか。

・CarrySpeed
 BlackRapidが訴訟して潰したという製品がこのCarrySpeed。
 数多あるBlackRapidコピーを無視しCarrySpeedを潰しに来ただけあって、BlackRapidに劣った点は見当たらない。強いて言えば値段だろうか。
 訴訟により販売できなくなったと聞いたが、2016年9月現在、Amazonで購入できてしまう。


 カメラとの接続はアルカスイス互換のクイックシュープレートに付いたピンにて行う。
 ピンを接続部に入れ、ネジを締めればOK。プレートをきちんと締め込んでいれば脱落の危険はゼロだろう。脱着の手間はBlackRapidと変わらない。


 もちろん、アルカ互換の三脚ならばそのまま三脚に取り付けられる。
 このピンの配置が優れており、自然とレンズが後ろ側に、グリップも右手でつかみやすい状態に収まってくれる。


 更に、ストラップ部分にも工夫がある。ストラップ前面のベロを引き下げることで簡単にストラップを縮めることができる。そのうえ、カメラを持ち上げれば自動的にストラップが伸びてくれるために、ストラップが短くて邪魔になるということがない。非常によく考えられている。
 ただし伸縮幅はJETGLIDEなどに比べるとかなり狭く、体に密着するまで縮めるといったことはできない。
 また、オマケとしてこのピンがSpider Holsterのものとほぼ一緒なのだ。両方使用する人ならばプレートの付替なく切り替えられる。

・FotoSpeed
 今年のCP+で知った製品。


 カメラとの接続はアルカ互換のコネクタとホースのカプラのようなものを介して行う。
 接続部を下の写真のように引っ張ると取付・取外が可能になる。



 このカプラにはロック機構があり、ネジを締めることで脱着不可能な状態にできる。


 また、このカプラ部分が自由に回転するため三脚穴のネジが緩む危険性はBlackRapidよりも低い。脱着の手間はこれら三種のなかで一番楽だ。


 コネクタ部分は見た目からは想像できないがアルカスイス互換となっており、そのまま三脚に取付可能だ。しかしカメラとの接続は分厚いゴム板を介しており、緩み防止には一役買っているが三脚での安定性はとても低い。あくまでオマケ、もしくは緊急用とでも考えたほうがいい。本格的に三脚でも使用したい場合、こちらもCustomSLRのM-PLATE PROを使用したほうがいい。
 ストラップ部分はCarrySpeedよりも更に進化している。


 CarrySpeedは手動で縮め、自動で伸びる、という構造だったが、FotoSpeedはカメラの上げ下ろしに対して伸縮が全て自動で行われる。


 また、FotoSpeedだけの特徴としてカメラ接続金具部分がストラップ上を勝手に移動しないよう、ロックがかけられる。
 自動伸縮とロックのお陰でしゃがむ、かがむといった行動でカメラを地面に叩きつける可能性が低い。
 ただし、この自動伸縮の代償としてカメラの上げ下ろしがほんの僅かだけ他よりスムーズでない。とはいえ、とくに気にするレベルではなかった。


 また、脱落防止用として短いストラップが付属している。これはカメラのストラップホールに取り付けることで万が一の脱落を防ぐものだ。たしかCarrySpeedにも付いているモデルがあったはずだ。


 他にハンドストラップも付属していたが、これは特に目立ったところはない。他の製品と比較して珍しいのは三脚穴に取り付ける構造となっていることくらいだろう。

 三種類のストラップを紹介したが、この中で選ぶならば、三脚を併用するならCarrySpeed、自動伸縮が欲しいならFotoSpeedだろう。
 BlackRapidは他のストラップが進化した今、わざわざ選ぶ理由は何も見つからない。

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