最小錯乱円とピント位置


 最小錯乱円とは、レンズを通った光束が最も小さい直径となる箇所のことである。ということは通常であればその位置がピント位置となる。
 しかし、そうならない特殊な場合も存在する。
 代表的なものはソフトフォーカスレンズだ。

 トップの画像はソフトフォーカスレンズに代表される球面収差アンダーコレクションの収差を示している。
 この図での最小錯乱円、ピント位置の直径をそれぞれ示したものが下の図だ。


 見ての通り、直径だけならばピント位置の光束は最小錯乱円でのそれに比べ3~4倍ほどになっている。
 ここで直径だけではなく、光束の強度も加味してみる。


 最小錯乱円では外周部が最も強度が高く、中心は弱い。実写では前ボケがこの形態となり、バブルボケ・二線ボケの様相となる。
 対してピント位置では中心部の強度が高く、その直径は最小錯乱円よりも小さい。周辺部はソフトフォーカス効果の原因となるフレアっぽさを担う。実写では中心部の強度の高い部分のみが像の描画を行うため、この箇所での像が最もコントラストが高くなる(=ピント位置になる)。

 よく収差を補正された現代的なレンズでは最小錯乱円の位置=ピント位置と考えていいが、厳密には収差バランスによっては両者は一致しない。

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