SIGMA sd Quattro H


 sd Quattroの上位互換。
 それだけで説明が終わってしまう。
 35mm判に対するAPS-Cが「写るテレコン」なら、こちらはさしずめ「写るワイコン」。
 無印より劣るところはバッファ。12枚だったのが8枚になる。そしてそれはDCクロップ時も変わらない。
 とは言え、SD1のバッファに慣れている身には大した問題ではない。
 連射速度はHのほうが多少速いが、どちらも大差なく遅いので安心してほしい。
 今sd Quattroを購入したいと思うならば、Hを買っておいたほうがいいだろう。画素ピッチは無印もHも同じなので、DCクロップで得られる画素数は無印と全く一緒である。

 以下作例。

_DQH0076
【sd Quattro H, 85mm F1.4 DG HSM | Art 016, @85.0 mm F8.0, 1/4000sec, ISO100】

_DQH0080
【sd Quattro H, 85mm F1.4 DG HSM | Art 016, @85.0 mm F4.0, 1/2500sec, ISO100】

_DQH0101
【sd Quattro H, 35mm F1.4 DG HSM | Art 012, @35.0 mm F2.8, 1/4000sec, ISO100】

_DQH0115
【sd Quattro H, 85mm F1.4 DG HSM | Art 016, @85.0 mm F4.0, 1/1000sec, ISO100】

_DQH0123
【sd Quattro H, 35mm F1.4 DG HSM | Art 012, @35.0 mm F4.0, 1/1600sec, ISO100】

_DQH0129
【sd Quattro H, 85mm F1.4 DG HSM | Art 016, @85.0 mm F2.8, 1/3200sec, ISO100】

_DQH0139
【SFD】

_DQH0153
【SFD】

_DQH0156
【SFD】

 最初の方は設定を間違えてRAWのLOWで撮っていた。
 後ろの方はSFD。SPP6.5になって動体補正が付き、多少のブレなら目立たなくなった。

 正直なところ、センサーが大きくなっただけで基本的にはsdQと同じカメラなので特に書くこともない。
 DNG出力やテザー撮影でのLVなど新機能もあるが、遠からず無印でもファームウェアで対応する。
 35mm判換算倍率は公式には1.3倍と謳われているが、正確には1.35倍と言ったほうが正しい。しかしEXIFには1.33倍の数字が書き込まれていた。どこから1.33が出てきたのだろう。

 DCレンズのAPS-H対応状況だが、とりあえず手持ちのDCレンズのうちすぐ試せる18-35と50-100で試した。

18-35mm @18mm フードあり

18-35mm @18mm フードなし

18-35mm @35mm フードあり

50-100mm @50mm フードあり

50-100mm @100mm フードあり

 なお、全て開放だ。18-35のテレ端のみまずまず使えそうだが、ワイ端はケラれている。50-100は周辺減光に隠れているが隅は絞ってもケラれる。
 素直にDCクロップで使ったほうがいいだろう。

 正直に言うと前日に公開されたSIGMA Photo Pro 6.5のMac版64bit対応とGPU支援のほうがわくわくして楽しみだった。
 64bit化の恩恵は素晴らしく、今回の現像もサクサクこなすことができた。
 しかし私のMacbook ProではGPUはエラーを吐いたため、GPU支援の効果はわからない。
 SIGMAさん、無印のファームウェアよりSPPのアップデートのほうを先にしてくれないかなぁ。私もGPUの恩恵を受けたい。

 ちなみに、このカメラに興味を持つ殆どの人には言われるまでもないことだろうが、このカメラは万人に勧められるものではない。
 感度は上げられないし、AFは(今のファームウェアでは)非常に遅いし、EVFの品質も褒められたものではない。過去記事でsdQの性能に感動したところを挙げているが、他社カメラを使っている人にとっては「え、いまどきそんな程度のことに感動するの?」と思うだろう。
 今まではSIGMAのカメラに手を出そうという人はその程度のことは全て承知の限られた人が殆どだった。しかし値段の低さと(SIGMAのカメラとしては)大幅に向上した使い勝手のおかげでユーザーは増えているようだ。
 喜ばしいことではある。しかし、数多あるデメリットをちゃんとわかった上で買うのだろうか? AFの遅さに耐えられるか? SGV以前の、特にマクロレンズでまともにAFできないことをわかっているか? 軽くないボディとレンズを持ち運べるか? 暗所の手持ち撮影を諦められるか? 三脚を持ち運ぶ覚悟があるか? それらをひっくり返してでもFoveonの写りがほしいか?
 そのあたりを認識せず買うのは不幸しか呼ばない。
 メイン機材として購入を検討しているならばこのあたりは十分承知した上で買うべきだ。サブで買うならば非常におもしろい選択だと思う。

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