カメラをベルト等に固定できるアクセサリ、Peak DesignのCapture Camera Clip(以下CCC)。私はリュックタイプのカメラバッグを使用する際、斜めがけカメラストラップではリュックとの摩擦で使いづらくなるためハンドストラップとCCCを利用している。
しかしこのCCC、値段が高めだ。記事執筆現在、Amazonで通常版が7826円、PROが10590円。アクセサリにこの値段を出すのはためらう人も多いだろう。
ところが、有名なカメラアクセサリにはパチモノが作られることが多い。BlackRapidやSpiderHolsterなどはAmazonを探せば大量のパチモノが出てくる。CCCも例外ではなく何種類かのパチモノが販売されている。そのうちのひとつにAndoer クイックリリースカメラホルスターがある。こちらはなんと2520円。しかも本家のPRO仕様と同一であるため、わずか1/4の値段で手に入れることができる。
私も本家を持っているのだがパチモノも一つ購入したので、現在本家PRO版CCCとパチモノの二種類を所持している。
せっかくなので両者の比較をしていく。
本家はアルミ削り出しと思われる本体とPRO Plateのセット。PRO版でないほうは底部がグラスファイバー入りのナイロン製で肉抜き・三脚穴なしとなっている。
対してパチモノはPRO仕様と同一のアルミ製で、ARCA Plateとのセット。
本家との主な違いは下の表に示す。
本家との主な違いは下の表に示す。
本家CCC | Andoer | |
材質 | アルミ | アルミ |
樹脂色 | 赤・黒 | 青 |
中央ロゴマーク | pd | oo |
右上・背面刻印文字 | Capture・peak design | TMC |
付属プレート | PRO Plate | ARCA Plate |
取付ネジ側面ローレット | 平目 | 綾目 |
プレート固定ネジ側面ローレット | 平目 | 綾目 |
リリースボタン操作感 | スムーズ | 引っ掛かりあり |
リリースボタンロック機能 | あり | なし |
プレート固定ネジトルク | あり | なし(※) |
取付ネジ長さ | 15mm(標準品) | 13mm |
本体厚み | 12.7mm | 13.2mm |
他にも細かい部分の詳細が違うようだ。例えば本体背面だが、印刷の有無はともかく本家に幾つかある丸い凹みがパチモノではでっぱりになって位置も変わっている。
本体の厚みも僅かにパチモノのほうが厚い。
また、寸法といえば取付ネジの長さも異なっている。本家(右)のほうが長く、パチモノは短い。リュックタイプの厚い肩紐に取り付ける際などネジの長さが足りない可能性もある。
しかし双方ともネジの規格は一緒のようだ。なのでパチモノでネジの長さが足りなくても本家のロングクランピングボルトが流用できる。
ネジは直径5mmほどだがM5なのかインチネジなのかはよくわからない。
しかしこの取付ネジ、さすがコピー品と思える箇所があった。片方のタップ穴が傾いている。
他の外観上の違いはネジのローレット。上がパチモノ、下が本家。
機能面の違いは二点見つけた。一点目はリリースボタンに簡易ロック機構がついていないこと。
本家ではリリースボタンを90度回転させることでボタンを押し込めない状態にすることができるが、パチモノではこのボタンの回転ができない。
パチモノの方もボタンのでっぱりと本体側の切り欠きは存在しているのに回転ができないためなんの意味もなくなっている。
また、パチモノは見ての通りバリが残っている。
もう一点はリリースボタンの反対側にあるプレート固定ネジがスカスカなこと。
上の表にプレート固定ネジトルクなしの欄に※を記入したが、これがけっこう致命的と思われるためだ。
このプレート固定ネジ、実際にプレートを取り付けた状態で締め、リリースボタンを押しながらプレートに力をかけると……あら不思議、簡単にプレートが取り外せるではないか。
つまり、リリースボタンの簡易ロックもなし、プレート固定も役に立たないという状態のため、プレート脱落に対しての保険が何もない状態となる。
本家では当然ながら固定ネジを締めておけばリリースボタンを押しながらプレートに力を加えてもびくともしない。
やはりパチモノは安いだけの理由があるものだ。
ちなみにだが、本家でリリースボタンの簡易ロックを行っても取付箇所のパーツを指で押せばスライドする。より安全なロックを求めるならばプレート固定ネジで固定しておくべきだ。
しかし付属のプレート、これは使える。ノギスで何箇所か寸法を測ってみたが、本家と変わりない。
上のパチモノは下のPRO Plateにない凹みが四辺にあるが、これは本家STANDARD Plateにも同じ凹みがあるので本家準拠のものと思われる。
ネジの取付方法は本家が六角穴とマイナス溝だが、パチモノは六角穴と手締ハンドルとなっている。この点は手締では十分なトルクが得られないため、六角以外に鍵などでも締められる本家のほうが良かった。締付トルクが弱いとCCCにはめ込んだ後、カメラの重さで緩むことがあるのだ。
互いに互換性があるため本家にパチモノプレート、パチモノに本家プレートの組み合わせでも問題なく使用できる。
もちろんパチモノもアルカ互換となっているため、アルカタイプの雲台にそのまま取り付けも可能だ。
青いゴム部分が簡単に外れてしまうところだけがマイナスポイントだが、取り付け後には関係ないため問題にはならない。
2015/12/13追記
ゴムが加水分解でベタベタになった……
実際の使用感であるが、実はパチモノ本体は購入後一度も使用していない。というのも、パチモノを購入した目的が本家では生産終了となっているARCA Plateだったからだ。このARCA Plateは本家ではまだ在庫があるようだが日本では流通在庫も枯渇しているようで、探しても見つからなかった。
本家ではPRO Plateだけでも4000円くらいするので、プレートのみ目的でもなお安い。
本体はせっかく本家を持っているのだから、カメラの落下という重大事故に繋がる危険性のあるパチモノをわざわざ使用する理由がない。
ARCA Plateが欲しかった理由は、写真のように二方向にアンカーを取り付けた場合にPRO PlateだとCCCにはめ込みにくかったからだ。4枚上のプレート裏面の写真を見てもらえれば分かるかと思うが、PRO Plateでははめ込む方向にアンカーがあると邪魔になってしまう。
本体はせっかく本家を持っているのだから、カメラの落下という重大事故に繋がる危険性のあるパチモノをわざわざ使用する理由がない。
ARCA Plateが欲しかった理由は、写真のように二方向にアンカーを取り付けた場合にPRO PlateだとCCCにはめ込みにくかったからだ。4枚上のプレート裏面の写真を見てもらえれば分かるかと思うが、PRO Plateでははめ込む方向にアンカーがあると邪魔になってしまう。
他のパチモノには本家CCCの初代をコピーしたものも存在している。こちらは購入していないが、Andoerのものよりも高いため、わざわざこちらを選ぶ必要もないように思える。
正直なところ、カメラの保持を信用のできないパチモノに任せるというのはいかがなものかと思う。このAndoerもパチモノにしては出来はいいほうだとは思うが、上述したようにプレート脱落に対して何の保険もかけられない。
アクセサリ代をケチってカメラを落下させ修理代を払うはめになっては本末転倒だ。デメリットをわかったうえで購入するならばなにも言わないが、ちゃんと本家を購入したほうが安全だし精神衛生上もいいだろう。
2016/01/17追記
パチモノをもう一個見つけた。
Andoerのものはとにかく本家に似せることを第一として作られているようだが、FOTGAのものは最低限の形状を似せるだけで、機能性の再現を重視しているように見える。それはリリースボタンの形状を見ても明らかだ。
このリリースボタン、本家とAndoerはボタンの押しこみ方向とロック部分の動く方向に角度があるため、内部では摺動面があるはずだ。Andoerのパチモノではその部分の摩擦をうまく低減できていないためボタンに引っ掛かり感がある。
しかしこのFOTGAのパチモノは見ての通りボタンとロック部分が真っ直ぐだ。そのため構造もシンプルで摩擦の問題もないのではないかと思われる。
しかし気になる点が一点、ロック部の形状だ。
本家とAndoerでは三角形の樹脂のでっぱりになっているが、FOTGAはただの丸棒になっている。プレート裏面の形状でそうそう簡単には脱落しないとは思われるが、やはり安全性は疑問が残る。
ちなみに全く同じ形状でVILTROXブランドのものもあるようだ。こちらは青色のパーツが灰色になっている。
調べた写真を見る限り、このプレートもCCCと互換性があるようだ。そのためARCA Plate目当てで買ってもいいかもしれない。
とはいえAndoerのプレートは上述のゴムの加水分解以外にも、アルマイトが弱いようで少し使っただけで地の銀色が見え始めている。FOTGAのプレートも似たようなクオリティではないかと思われるので使うにしても塗装のハゲは覚悟しておいたほうがいいだろう。
ちなみに私はもうこちらのパチモノは買わない。やはりちゃんとした純正品を使っておきたいため、Peak Design本家にLENS Kitと一緒にARCA Plateも注文した。パチモノプレートと純正プレートの2枚があれば困らないため、ブログネタにしかならないパチモノ本体をわざわざ買う必要もなくなったのだ。
正直なところ、カメラの保持を信用のできないパチモノに任せるというのはいかがなものかと思う。このAndoerもパチモノにしては出来はいいほうだとは思うが、上述したようにプレート脱落に対して何の保険もかけられない。
アクセサリ代をケチってカメラを落下させ修理代を払うはめになっては本末転倒だ。デメリットをわかったうえで購入するならばなにも言わないが、ちゃんと本家を購入したほうが安全だし精神衛生上もいいだろう。
2016/01/17追記
パチモノをもう一個見つけた。
Andoerのものはとにかく本家に似せることを第一として作られているようだが、FOTGAのものは最低限の形状を似せるだけで、機能性の再現を重視しているように見える。それはリリースボタンの形状を見ても明らかだ。
このリリースボタン、本家とAndoerはボタンの押しこみ方向とロック部分の動く方向に角度があるため、内部では摺動面があるはずだ。Andoerのパチモノではその部分の摩擦をうまく低減できていないためボタンに引っ掛かり感がある。
しかしこのFOTGAのパチモノは見ての通りボタンとロック部分が真っ直ぐだ。そのため構造もシンプルで摩擦の問題もないのではないかと思われる。
しかし気になる点が一点、ロック部の形状だ。
本家とAndoerでは三角形の樹脂のでっぱりになっているが、FOTGAはただの丸棒になっている。プレート裏面の形状でそうそう簡単には脱落しないとは思われるが、やはり安全性は疑問が残る。
ちなみに全く同じ形状でVILTROXブランドのものもあるようだ。こちらは青色のパーツが灰色になっている。
調べた写真を見る限り、このプレートもCCCと互換性があるようだ。そのためARCA Plate目当てで買ってもいいかもしれない。
とはいえAndoerのプレートは上述のゴムの加水分解以外にも、アルマイトが弱いようで少し使っただけで地の銀色が見え始めている。FOTGAのプレートも似たようなクオリティではないかと思われるので使うにしても塗装のハゲは覚悟しておいたほうがいいだろう。
ちなみに私はもうこちらのパチモノは買わない。やはりちゃんとした純正品を使っておきたいため、Peak Design本家にLENS Kitと一緒にARCA Plateも注文した。パチモノプレートと純正プレートの2枚があれば困らないため、ブログネタにしかならないパチモノ本体をわざわざ買う必要もなくなったのだ。
初めまして!
返信削除当ブログのコメントにてこちらの記事をご紹介いただきお邪魔させていただきました。
Captureのぱちもんの存在も今日知ったのでとてもタイムリーかつ分かり易い比較で参考になりました。
しかし、ARCA Plateはなぜ無くなったんでしょうね。私は現行のPro Plate以外全て持っているのですがARCAプレートが一番使い易いんですよね…。
これからもちょくちょくお邪魔させていただきます!
はじめまして!
削除このパチモノは2500円という値段を考えれば値段以上の品質とは思いますが、それでも機材を任せるに足るものではないですね。
両方を持っていると本家の信頼性がよくわかります。
ARCA Plateはどうやら本体両端の締め付けネジとアンカーが干渉してしまうという理由のようですが、Pro PlateやStandard Plateのほうがアンカーつけてる状態では嵌めにくいと思うのですけどね……
あとは在庫管理の問題等もあるのでしょうけど、生産中止にはしてほしくなかったです。
私もどんさんのブログをRSSリーダーに登録しました。
Peak Design製品を詳しくレビューしているブログは少ない印象があったので面白く読まさせてもらいました。
I do not understand Japanese but I will say bkbk
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