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 今年のCP+では3本の新レンズ、2つの製品アップデートがあった。


・Art単焦点レンズEマウント用追加
 SLR用のArt単焦点レンズ9本(内、新レンズ2本)のEマウント版が発表された。 いままでもMC-11でSAマウント及びEFマウントをEマウントでも使用できたが、EマウントネイティブとなることでAF-C等での使い勝手が向上したらしい。
 しかし、SLR用をそのまま流用するのは14mm、20mm、24mm、35mmあたりでは非常にもったいなく思える。これらSLRのフランジバックよりも短い焦点距離はレトロフォーカス構成となるためだ。最初からショートフランジバックを前提とした設計に比べれば、特に大きさ・重さの点では非常に不利となる。
 昨年のCP+で「DN」が「DC DN」になったため、ミラーレス専用の35mm判対応「DG DN」も開発しているのだろうが、今回のアップデートはその発表が間に合わなかったためにお茶を濁しただけのようにも思える。
 70mm、85mm、105mm、135mmでは仮に同スペックがDG DNで登場したところでSLR用と比較して旨味は少なくなると思うので、中望遠のE版は必要であれば入手するのも良いと思われる。
 おそらく今後DG DNレンズが登場するならば、まずはズーム。その後は広角を優先し、中望遠は後回しになるのではないだろうか。
 私個人としてはEマウントを持っていないし、仮に購入することがあったとしてもSAメインでMC-11を使用すると思うので関係ない。


・キヤノン製カメラのレンズ光学補正に対応
 EFマウントを持っていないのでこちらも私には全く関係がない。
 もともとSIGMAのレンズは光学補正を前提として考えているレンズではないので、補正がなくとも特に問題はないはずだ。(ContemporaryのDC DNを除く)
 とはいえ周辺光量などはどれだけ前玉を大きくしてもコサイン4乗則に伴う光量落ちは物理的に避けることができず(周辺光量チャートにおいてF11でも光量落ちゼロにはなっていない部分が物理的な限界。ただし14-24/2.8の広角側のように変曲点がある場合は口径食によるもの)、また歪曲収差もdp0Q以降の広角レンズでは徹底的なまでに「ゼロ・ディストーション」にこだわっているが特にズームレンズでは真にゼロにはできない。それら物理的な限界を超えるための補正としては有用であるはずだ。
 一点、CP+の社長講演では「周辺光量、色収差、歪曲収差、それから回折補正。全てONにできます」との発言があったが、プレスリリースを見ると

対応する補正機能は「周辺光量補正」「色収差補正」「歪曲収差補正」の3 種類です。

との文言がある。どちらが正しいかははっきりしないが、講演で使われていた画像では回折補正はOFFになっていたためプレスリリースが正しいのではないだろうか。


・14-24mm F2.8 DG HSM | Art
 広角大三元。防塵防滴と前玉の撥水防汚コーティングも施されている。
 昨今のSIGMAの例に漏れずゼロ・ディストーションを掲げ、事実他社同クラスに比較して歪曲は非常に少ない。
 構成図を見ると前玉側から非球面2枚を含むメニスカス凹レンズが4枚使われており、非点収差を発生させないよう緩やかに光線を曲げているように見える。MTFではこの画角、かつズームレンズであることを考えると非常に優秀でサジタル・メリディオナルも均質になっている。星に向いていそうだ。
 一点気になっていた点がある。仕様表に

最短撮影距離 26cm*(*24mm時の値)

とあるが、これはもしかしてバリフォーカルなのでは? そう思いCP+で触ってきたが、120-300ほどのピント移動はなかった。
 しかしArtでSports同等の防塵防滴が掲げられると、ではSportsとはなんぞや? という疑問が生じてくる。24-70/2.8ArtのContemporaryっぽいまとめ方といい、C・A・Sの住み分けが曖昧になってきたなぁと感じる。
 さて、このレンズは非常にいいレンズであろうと期待できるしここでも褒めたが、私は買わない。14/1.8も20/1.4も24/1.4も持っているし、私が待望しているのは8-16の後継なのだ。


・70mm F2.8 DG MACRO | Art
 私はミラーレスが嫌いだ。
 嫌いな理由の4割はEVF。残りの6割はフォーカスバイワイヤである。
 バイワイヤは回転角と移動量の関係が回転速度により変化し、無限遠・最短時がフォーカスリング突き当りの感触では判別不可能で、電源OFF時に操作できず、(少なくともキヤノンSTMでは)一定時間放置後は省電力のためかフォーカスリングが反応しなくなり、ごくごく微量の入力ではレスポンスがない。
 回転速度による移動量変化はメリットでもある。低速の回転では移動量を減らすことで仮想的な最短-無限ピントリング回転角を360°以上にもすることができるため微調整に向く。また、単焦点では関係ないがバリフォーカルでも電子制御でズームレンズとして使用できる。
 そういった利点を重々承知した上で、私はバイワイヤが嫌いだ。優劣ではない。好き嫌いだ。
 待望の70mmマクロの後継はバイワイヤになってしまった。非常に残念だ。
 CP+の会場で少しだけ触ったが、MFは微調整専用のようだ。素早くフォーカスリングを回しても最短付近から無限遠へは一息には行かない。バイワイヤであることの違和感はミラーレス初期のものと比べるとほとんど無かった。だからといって好きになるものではないが。
 今回、ニコン用が用意されていない。これはバイワイヤであることが関係しており、使えないわけではないが使い勝手に問題が出るから、らしい。ネット上ではAF-Pで電源切時に無限遠に戻す制御がないため、前玉が伸びるレンズでは使えないのではないかと言われている。
 バイワイヤ以外の点については不満に思うような部分はなさそうだ。防塵防滴ではないが、コスト面に直接跳ね返ってくる部分なので悪いことばかりではない。
 旧EXの70マクロではテレコンは(物理的には付くのだが)非対応だったが、今回はテレコン対応だ。これにより撮影倍率2倍まで撮影できる。
 嬉しい点がレンズフードだ。旧EXではフィルタネジへのねじ込みで取り付けだったが、今回はバヨネットとなっているため脱着が非常に楽になった。
 またフォーカシングにより前玉が前後するが、これがフード内で前後するようになった。この点が非常にありがたい。
 レンズフードの役割には遮光以外にレンズの保護がある。この点でこのフードは最高の役目を果たしている。旧EXではフォーカシングにより前玉が被写体に接触する危険性があった。最短付近での撮影でもフードを付けていたら被写体とフードが接触し、さらにフードの影が被写体に落ちてしまう。今回のフードはそういった煩わしさが全く無い。つけっぱなしで全ての撮影がこなせるだろう。
 遮光の面でもデメリットばかりではない、と思う。インナーフォーカスのレンズではピント面を近接にした際にブリージングが発生し画角が広くなる。レンズフードはその画角でもケラレが生じないサイズに設計しなければいけない。今回の新70mmでは前玉が伸びるお陰でブリージングの影響を考えずにフードを設計できる。とはいえこのフォーカス方式でどこまでブリージングがあるかはわからないし、所詮丸型フードなのだが。
 今回、「カミソリマクロ」の名称が使われている。これは2006年にデジカメWatchで使われてからSIGMAの70mmマクロを表す代名詞となっていた。こうした名称を公式に使われるのは珍しい。
 正直、「カミソリマクロ」の名称をそのまま使ってくれてよかったと思う。個人的には「ライト・バズーカ」や「BOKEH-MASTER」は、うーん? と思ってしまう。
 最初にバイワイヤについて色々と書いたが、このレンズは予約購入する。


・105mm F1.4 DG HSM | Art
 今回の新製品で一番楽しみなのがこのレンズ。
 105mm F1.4というスペックはNikonが既に出しているが、正直当時のニュースを聞いたときにはこんなスペックSIGMAが出したに違いないと思った。その時の期待に違わず、105/1.4を出してくれた。
 CP+では一般の展示ブースだけではなく、有料のセミナーも行っている。今年のSIGMAの有料セミナーはこのレンズについてだった。要点をざっくりとまとめる。
 105mmのターゲットレンズは85mm F1.4と設定した。85mmは非常に優秀なレンズだが、唯一軸上色収差のみ僅かに大きい(とはいえ旧EXに比べると非常に少ない。実際に使っている私の感覚でも、MerrillでならともかくQuattroで使うにあたっては軸上色収差を問題に感じたことはほぼない)。軸上色収差は輝度の高い被写体の周囲にパープルフリンジを生じ、ボケの周辺に色付きを生む。
 105mmではFLD・SLDレンズをふんだんに使うことでこの軸上色収差を低減している。資料にはg線・d線・C線のスポットダイアグラムが紹介されている。詳しい条件は話されていなかったが、おそらく無限遠時にd線が最小錯乱円になる条件でのものだろう。この条件では全ての波長で錯乱円が小さくなっており、軸上色収差の小ささがわかる。また、「全ての」と書いたとおりd線の錯乱円も小さい。解像力も85mmより高くなっているわけだ。
 次に「BOKEH-MASTER」と名乗るとおりボケ味にも考慮している。無限遠時には球面収差の縦収差図はほぼ直線、極僅かアンダーよりなものが、近接になるとよりアンダー側に倒れる。これにより近接時の後ボケが滑らかになる効果を生む。ボケのスポットダイアグラムも載っていたが、周辺ほど薄くなっていた。この点、三次元的ハイファイを標榜するNikonにどこまで迫れるだろうか。
 口径食は開放ではわずかにあるが、F2.0では周辺部までほぼ丸いボケが得られる。公開されている周辺光量のデータではF2.8でも像高20mmあたりから口径食が生じているためゼロというわけではなさそうだが、実写を見る限り口径食が目立ってはいなかった。
 非球面を使用した際の玉ねぎ・年輪ボケも少ないとのこと。これは以前行ったボケ味計測の85mmでの結果を見るに期待できる。

ボケ味を評価する | 五海里
http://illlor2lli.blogspot.jp/2018/01/bokehtest.html

 また、資料にはなかったが光学設計もメカ設計も星好きが設計しているらしく、星にも向いたレンズとのことだ。開放のMTFを見るとサジタルがメリディオナルよりも落ちているが、これは絞ることで改善しやすいサジタルコマフレアを残し、メリディオナル方向を優先した影響とのこと。少し(1段か2段かは失念)絞るとメリディオナルはあまり変化しないがサジタルは敏感に改善するため、点が点として写る。絞った状態ではMTF上でもサジタル・メリディオナルの差が少なくなっていた。
 他に逆光耐性についても解説されていたが、ArtのDG単焦点を全て持っている私の感覚としては逆光に強いといえるのは14mmだけなので、果たしてどれだけのものか実際に使ってみないとなんとも言えないと思っている。
 このセミナーは一般的な宣伝文句よりも技術的な部分に踏み込んだ解説がされており、それでも私でも理解できる内容だったため非常におもしろかった。
 さて、セミナーでは光学面の話ばかりだったが、その他の部分についても触れよう。
 まず三脚座。最初からアルカスイス互換となっている。雲台を改造してまで全ての三脚をアルカ互換で統一している私には嬉しい。また、この三脚座は脱着可能となっており100-400のような化粧リングで三脚座なしの運用も可能になっている。しかし取り外し可能であるということは50-100/1.8のような上質な滑らかさとクリック感はないかもしれない。
 次にレンズフード。取り付け方法がバヨネットではなく超望遠と同じ方式になっている。これはフード先端にゴム部分があることから、立てて置くことを想定しているものと思われる。個人的にはこの短さのレンズを立てることはないと思うので、フード脱着に手間がかかるデメリットが目立ってしまう。フード形状も不思議なのだが、このサイズで105mmの画角に対応してるのだろうか?
 また、一点残念なことがフォーカスリミッターがないこと。105/1.4の被写界深度ならばリミッターがあったほうが嬉しかった。
 鏡胴は14-24と同じくSports相当の防塵防滴と前玉の撥水防汚コーティングが施されている。
 重量は(発売前の現時点で)1645g。三脚座を取り外せば50-100mmとそう変わらなさそうだ。私は特に苦には感じない。
 CP+会場ではショーケースの中で実際に触ることはできなかったため、発売は70mmよりも後になるのではないかと思う。しかし70mmのバイワイヤのような懸念がひとつもない。今回の発表で一番楽しみな製品だ。当然予約して購入する。

 レンズの性能のひとつとして語られることも多い「ボケ味」。これは評価としては他の解像力や色収差、歪曲などとは違って、見た目の印象からの定性的なものしかほぼ存在していない。
 そこで、ここではボケ味の良し悪しを決定するための一要素を計測し、光軸中心における特定距離の後ボケという限定的な領域での評価を行う。

 計測方法は以下。
・撮影対象は赤色LEDとする。
・レンズのピント位置は最短。ただし冒頭写真のように隣のLEDと重なりそうな場合は極力大きくなる位置とする。
・対象のボケは光軸中心に配置する。
・撮影距離はレンズによって適宜変更する。
・撮影後、ボケ部分のみを正方形にトリミングし、ニアレストネイバーにて100*100pixelに縮小、上下左右の四方向で中心からピクセルの明るさを記録し、その平均を取る。
・計測結果をグラフ化し、評価する。

 この測定方法では主に球面収差の影響が現れる。現実には光軸中心以外ではコマ収差・非点収差・口径食などの影響が現れるため、この結果はあくまでボケ味を構成する一要素しか判断できない。
 また、2パターン撮影したレンズの結果を見ればわかるが、撮影距離とピント位置の組み合わせで収差の変動がある。そのためSTFのような特殊レンズでなければピント位置によっては良くも悪くもなる可能性がある。


・SONY 135mm F2.8[T4.5] STF



 左側が中心、右側がボケの端になる。
 さすがSTF、見事な曲線で周辺が減光されている。ボケ味の絶対王者だ。
 意外だったのが50サンプル中22まではほぼ減光がないことだ。APDエレメントの構造上、中心からすぐに減光が始まっていると思っていた。


・Carl Zeiss Vario-Sonner T* 24-70mm F2.8 ZA SSM @24mm



 撮影環境の都合上、大きく撮影できなかったため50サンプルではなく45サンプルしか取得できていない。
 グラフを見ると外周部でやや明るさが増している部分があるが、中心よりは減光されているのでそこまで目立たないのではないかと思う。


・Carl Zeiss Vario-Sonner T* 24-70mm F2.8 ZA SSM @70mm



 見ての通り外周部で大きく明るさが増している部分がある。縦収差図ではややオーバーコレクションとなっているのではないかと思われる。
 このレンズは殆ど使っていないのでボケ味についての印象はないのだが、おそらく二線ボケするだろう。ただ前ボケに関してはなめらかな描写をしてくれるはずだ。


・50mm F1.4 EX DG HSM (BBL)



 ここからはsdQHでの撮影となるため、ベイヤー機に比べ細かい上下が敏感に現れる。
 改造レンズのBBLは傾向としてはSTFとよく似通っているが、Foveonでの撮影であることを加味しても細かい上下が多い。ボケをよく見てみると渦巻き模様のようなものが見える。凸と凹でAPDを構成するSTFとは違い、薄板でAPDを作っているBBLはこのような模様で効果を作っているのだろう。
 現実には放射状ではなく渦巻状となっているため、これが目立つことは少ないはずだ。


・85mm F1.4 DG HSM | Art



 明るさの分布はほぼ完璧に均一だ。おそらく縦収差図では収差が殆どないのだろう。
 これだけ均一であれば解像力も高いはずだ。この測定は光軸中心でのものだが、球面収差が少なければコマ収差も少なく、85mmという中望遠であれば非点収差も少ないはずなので画面全域で高い解像力が期待できる。というか実際に解像力は高い。
 ボケ味に関しては良くも悪くもなく、また前ボケと後ボケの差もほぼないだろう。
 また、非球面レンズには付きものと言われる年輪ボケ・玉ねぎボケと言われるような模様は見えない。面精度が高いということだろうか。


・135mm F1.8 DG HSM | Art



 135mmは85mmと同じ傾向だ。ごく僅か外周部で明るさが上がっている箇所があるが、二線ボケになるほどではない。
 今回の測定とは関係ないが、冒頭に載せた写真はこの135mmなのだがやや口径食が見られる。Art85mmより入射瞳径が大きいのに、なぜかフィルタ径は小さくなっている影響だろう。


・35mm F1.4 DG HSM | Art(その1)



 個人的にボケ味がよくない印象のあるArt35mm。
 このレンズは2パターン撮影しており、こちらは
撮影距離:0.95m
ピント位置:約0.4m
 という条件で撮影したものだ。
 見事な年輪ボケで外周部も明るさが多少高くなっている。ボケ味はあまり良くない。


・35mm F1.4 DG HSM | Art(その2)



 こちらの撮影条件は
撮影距離:0.6m
ピント位置:約0.3m
 となる。
 この条件も年輪だが、外周部の明るさ変化はあまりない。その1の条件よりはマシなボケで、85mmや135mmに近い傾向だ。


・24mm F1.4 DG HSM | Art(その1)



 Art24mmもボケ味が悪いため2パターン撮影している。
撮影距離:0.95m
ピント位置:約0.4m
 のパターンだ。
 ボケは年輪。最外周部が明るさのピークになっておりかなり悪い。おそらく縦収差図ではオーバーコレクション気味だろう。後ボケは二線ボケする。
 STFが良いボケ味の見本ならば、この24mmは悪いボケ味の見本のようだ。


・24mm F1.4 DG HSM | Art(その2)



撮影距離:0.6m
ピント位置:約0.25m
 のパターン。
 その1よりは良いが年輪はそのまま。最外周部がやや明るく、その範囲が狭い。Art35mmのその1のように明るくなってはいるが範囲が広い場合は目立ちにくいが、こちらは条件によっては二線ボケが見えるだろう。


 レンズ7本・10パターンの計測を行った。最初に書いているようにこの結果はボケ味の一要素でしかないが、使用していてボケ味が悪いと感じるものはグラフに如実に現れた。
 最初は得られた数値からボケ味を評価するスコアをつけようかと考えたが、うまいスコアの算出方法が思い浮かばなかったためやめた。
 他のレンズに関しては測定する予定はない。手動で1pixelずつ明るさを見ているので、手間がすごいのだ。

 毎年恒例のPeak DesignのKickstarter。今年も出資。

 今回、新しいCapture v3とPro Pad、SLIDEのセットに出資し、ついでに新しいLEASHとCUFFも購入。
 LEASH以外は旧版も持っているので比較を行う。

 まずはCapture v3。かなり大きい変更があった。
 第一に小型化された。重量もv2比で3割減とある。付属のStandard Plateも薄型になった。
 しかし小型化にあたって悪くなった点もある。

 まず、薄型化されたStandard PlateはCapture v1、v2で使用できなくなった。
 カメラを横から入れれば取り付けはできるのだが、縦から入れるとCaptureの取り付けボルトがカメラ底面と干渉してしまう。


 しかし、これには対策がある。
 Capture v3には従来別売りだったロングクランピングボルトが付属している。


 このボルトをv2に使用すれば取り付けネジの飛び出しがなくなり、v2でも底面が干渉しなくなる。


 これは公式にアナウンスされた使い方ではないので、その他の不具合が発生する可能性は否定できない。

 二つ目に、取り付け幅が狭くなった。


 このため、私が愛用しているthinkTANKphotoのRotation180 Proでは肩紐への取り付けができなくなっている。


 v2では幅広な肩紐にも対応できる幅があったが、v3ではご覧のとおりだ。


 第三に、Capture Toolが使用できなくなった。


 プレート取り付け部よりもネジ頭が奥まった場所についているため、Capture Toolをはめることができない。


 そもそも、ネジ頭の形状が変更されているためCapture Toolが噛み合わなかった。
 このため取り付けは手締めでしか行えなくなっている。
 しかし前述のロングクランピングボルトならば六角での締め付けとなるため、Capture Toolの六角部分で強固な締め付けが可能だ。
 ベルトなどに付ける場合、ロングクランピングボルトは背面のネジの飛び出しが体に当たり使えないため、通常のボルトにも六角穴を付けていてほしかった。

 他にも小型軽量化のためにスポイルされた機能がある。

・ベース逆付けによるアンカー取り付け

・右側のスプリング

・ベースの三脚穴
・プレートロック機構

 これらのスポイルされた機能は、正直なところ冗長で活用している人は殆どいなかったのではないかと思われる。特にベースの三脚穴は活用のしようがなかった。何のために付いていたのだろうか?
 しかしプレートロック機構はCapture Lensで使用する際は活用していたので、なくなったのは少々寂しい。

 次にPro Pad。これは率直に言うと改悪としか思えなかった。


 まずこちらも小型化されクッション面積が減った。
 さらに裏面も旧版のほうが柔らかくクッション性は高そうだ。


 取り付けの自由度でも、表面を見て分かる通り縦向きに固定する機能がなくなった。

 こちらもCaptureの小型軽量化の影響でv3では旧版は使用できない。


 しかし縦向きに使用したい場合はv3でもなんとか使用できる。


 縦向きに使用したい人は旧版が無くなる前に確保しておいたほうがいい。
 また、ベース部を通す部分が新型では固く非常に通しにくい。
 最初にも書いたがこれは改悪だ。デザイン面はともかく、機能面では何ひとつ褒める点が見つからない。

 新型CUFF。これはKickstarter以前に改良されたものだ。


 手を通した後の長さ調整が簡単になっている。すこし引っ張れば手首部分が締まってくれ、脱落防止には効果が高い。

 また、この世代からアンカーの取付部が多少変更されていた。


 下が新型だ。バネがやや強くなっており、不意の脱落が起こりにくくなったようだ。
 もともと旧型でも脱落したことなんてないが。

 新型LEASHとSLIDE。このLEASHもKickstarter以前の改良だ。


 LEASHは旧型を持っていないので改良点はよくわからない。
 伸縮のスムーズさは伸ばす方向は十分。縮める方向はコツがいり、JETGLIDEと比較すると不合格。一眼レフクラスには細すぎるため使うことはないだろう。

 SLIDEはものすごく、ものすごく良くなった。伸縮のスムーズさは旧型のガッカリ具合とは比較にならず、JETGLIDEにはあと一歩及ばないながらも比肩すると言っていいだろう。惜しむらくはクッション部分が伸縮には使えないために最短時の長さがやや長いことだ。
 すべり止めも新しくなり、耐久性が増したとアナウンスされている。旧型では滑り止め部分が溶け出し服を黒く汚したという報告もあるため、新型では改善されているのではないだろうか。

 LEASHとSLIDEにはこの世代から非常に小さいアンカーマウントが付属している。


 これはCaptureには付けられずアルカ互換でもないのだが、とても小さい。
 私は縦グリの底面に付けた。従来のプレートでは縦グリ使用時に手に当たる部分が大きかったためグリップ感を損なっていたが、このアンカーマウントならばほぼ気にせず使用できる。

 最後に新型アンカー。これもLEASHやCUFFと同タイミングでの改良だ。


 写真は右が第二世代、真ん中が第三世代、左が最新の第四世代。
 これは最高だ。
 ヒモ側の半分がテーパになっているところが最大の特徴となっている。旧型では取付時もアンカーを指で押し込みながらスライドさせる必要があったが、新型では取付部に引っ掛けたあとに軽く引っ張るだけで取り付けできる。
 また、取り外し時もテーパ部分のおかげで外す方向に力をかけやすい。
 紐部分も細くなったために三角環を使用しなくても取り付けができる。GRのような取付部にも付くだろう。
 耐荷重には一抹の不安が残るが、公式発表では第三世代と変わらない90kgを謳っている。実際に第二世代よりは丈夫に思えるし、第二世代はほつれが起きやすかったためそれよりは安心できる。
【2018/06/10追記】
 第四世代(V3)にほつれの問題が発生したため、紐を太くしたV4への交換が発表された。

 今年の新製品はPro Pad以外は順当に良くなっている。惜しむらくはCaptureの取り付け幅が狭くなったことだ。ザックの肩紐などに付けることを想定している人は取り付け幅76mmに適合するか確認したほうがいい。

 SONY(MINOLTA)にはSTFという名レンズがある。
 これは光束周辺部を減光することでとろけるようなボケ味を作り出すものだ。
 同じボケ味改善の効果があるものにDC-Nikkorがあるが、これは球面収差の程度を変えることによって効果を得るもので、STFとは全く原理が違う。
 DC-Nikkorは改善できるのは前ボケ・後ボケのどちらかのみ、かつ収差を加えているため解像力が悪化する。対してSTFは前ボケ・後ボケ両方を同時に改善し、かつ収差の大きい周辺部が減光されることで解像力も向上する。デメリットとしては暗いためシャッタースピードが稼げないことくらいだ。(MFレンズであることは135mm特有のものでSTFの原理からくるものではない。ただしF5.6部分の光束も多少減光されているので、位相差AFが可能な最低輝度が他のレンズより高くなることは考えられる。)

 トップの写真はSTFによるものだ。後ボケも前ボケも非常に滑らかで美しいボケだ。
 しかし、左端の彼岸花の右側にやや違和感を覚える描写がある。


 ここだけボケのエッジが立ってしまっている。ほかのボケが滑らかであるだけあって、ここだけ異質に思えてしまう。

 この描写の原因を考える前に、STFの原理をざっくりと説明する。


 簡便のためレンズは一枚の凸レンズで表している。
 光軸中心・無限遠からの光束が入射する様子を表した図だ。STFではレンズの周辺の光を減光するため、像側の光束の断面を見ると上の丸のようにエッジが現れない。これがとろけるようなボケ味につながっている。通常のレンズでは濃度が均一な丸になる。
 (実際のSTFにおいて減光を担うAPDエレメントは均一な濃さの凹レンズになる。)

 次に点光源の後ボケ状態の模式図を示す。


 ピント面以外からの点光源は像面で焦点を結ばないため、ボケになって写る。

 さて、冒頭のエッジの目立つボケがどのような条件で現れるかだが、これは光源とレンズの間に障害物を置くことで説明できる。


 図はまっすぐな棒状のものを置いた際の模式図である。障害物によって光束の一部が遮られることで、光線の強度が高い中心部でエッジが発生してしまう。
 この障害物がピント面にある場合は、ボケの欠けた部分を障害物が埋めるためにボケが欠けたとは認識されない。しかし前ボケとなる領域にある場合はボケの欠けが目立ってしまう。特に障害物と背景が同色の場合には顕著となる。

 冒頭の写真の場合、おそらく前ボケで写っている彼岸花のおしべでボケが欠けたと思われる。障害物となったおしべ自体は前ボケとなって見えないほど溶け込んでしまったためにボケの欠けだけが残ったのだ。

 このボケの欠け自体はSTFに限らずどんなレンズでも発生する。しかしSTFの通常のボケが滑らかすぎるためにエッジが立っている部分が目立ってしまった。

 STFでボケのエッジを立たせないためには、このような光束の一部だけを遮る小さな前ボケは発生しないよう考える必要がある。とはいえ出先でそこまで考えて画作りをするのは難しい。STFにも弱点があるということだけ頭に入れておけば十分だろう。
SD1 Merrill ISO6400 RAW内jpg

 Foveonは高感度に弱い。常識である。
 しかし、ことモノクロにおいてはそうとも言いきれないのだ。

 トップの写真はSD1 Merrillで適当にカラフルなものをISO6400で撮った際のRAW内埋め込みjpgである。写真というより現代アート、カメラというよりノイズ生成器だ。見るに堪えない。
 500*500切り出しが以下。

SD1 Merrill ISO6400 切り出し

 X3FをSPPで現像するといくらかマシにはなる。具体的にはノイズの塊が油絵に進化する。

SD1 Merrill ISO6400 SPP現像 パラメータ全リセット・ノイズリダクション真ん中

同上切り出し

 ちなみにISO100では下のようになる。何の問題もない。(ピントは追い込んでいない)

SD1 Merrill ISO100(参考)

 これはsd Quattroでも同じ傾向だ。QuattroではMerrillよりいっそう色が死ぬ。

sd Quattro ISO6400 RAW内jpg

同上切り出し

sd Quattro ISO6400 SPP現像 パラメータ全リセット・ノイズリダクション真ん中

同上切り出し

sd Quattro ISO100(参考)

 さて、この現代アートだが、SPPのモノクロモードで現像するとそこまで悪いものではなくなる。酷い有様である原因は主に色ノイズだ。しかしモノクロでは色ノイズは関係なくなり、輝度ノイズのみが問題となる。そして輝度ノイズのみを見ると、ちょうどフィルムグレインのような効果をもたらしてくれる。

SD1 Merrill ISO6400 SPPモノクロ現像パラメータ全リセット・ノイズリダクション真ん中

同上切り出し

 さすがに最高感度のISO6400かつノイズリダクション真ん中ではノイズが多いが、カラーと見比べるとFoveonでも高感度が実用域として見える。

 また、フィルムグレイン的なノイズも許容できない人にも選択肢がある。
 SPPではモノクロ現像時、RGBの割合を変更できる。そこでBを100%とすればISO6400でもかなりノイズの少ない画像が得られるのだ。

SD1 Merrill ISO6400 モノクロ現像B100%

同上切り出し

 さすがにFoveon特有の解像感は失われるが、用途によっては十分ではないだろうか。また、この現像もノイズリダクションは真ん中なので解像感・ノイズはある程度調整が効く。
 Foveonの3層構造は、上から主に青色を感知するトップ層、主に緑色を感知するミドル層、赤色を感知するボトム層となっているため、入射する光全てを受け止めるトップ層はS/N比に優れているのだ。

 ただし、当然ながら青色だけでは判別できない色は消えてしまう。

ISO100

ISO6400 B100%

 また、Foveonでモノクロを撮影する場合には2つの大きな利点がある。

1. 全画素で輝度情報を得られる。
 現代のほぼすべての撮像素子はベイヤー形式、もしくはX-Trans CMOSであるが、これらの撮像素子は輝度情報を緑画素でしか得ていない。緑画素は全体の50%しかなく、ほかの画素はモノクロにおいてはほぼ役立たずとなっている。
 Foveon以外で全画素で輝度情報を取得できるカメラはライカM Monochromeくらいしかない。これはカラーも撮れるFoveonに比べてモノクロ専用で、ボディのみで約100万円だ。

2. RGB各色の情報を得られる。
 ライカM Monochromeは本当に輝度情報しか得られない。
 対してFoveonの場合はトップ層・ミドル層・ボトム層それぞれで色情報も得ている。
 これによって青のみに感光するレギュラーフィルム、青と緑に感光するオルソフィルム、すべての光に感光するパンクロフィルムをそれぞれシミュレートするような使い方が可能だ。
 通常のベイヤー撮像素子でもレギュラーやオルソのシミュレートは可能だが、前述の通り輝度情報を全体の50%でしか得ていない。
 全画素で輝度情報と色情報を得ることができる撮像素子はFoveonだけである。

 以上から、モノクロ写真を撮るデジタルカメラとしてはFoveonこそが最高の選択肢である。モノクロに興味のある方はFoveonを試してみてはいかがだろうか。