待ちに待ったSD1後継機が発売された。まあ、私が待っていたのは一眼レフの後継機なので、まだまだ出るかどうか分からないものを待ち続けて干からびていくのだが。
まずは外観である。
デザインは他にない独特なもので、グリップ部分の高さが短くなっている。
これはおそらく縦グリップに付けるボタンの場所を確保するための形状だろう。
握り易さに関してはSD1よりは多少劣る気もする。また、私の持ち方では小指が余るのだが、縦グリを付けたら収まりが良くなった。
EVFは光軸より右側にオフセットされた位置にある。
これも縦グリップ使用時に覗きやすい位置を考えられているのだろう。
また、背面から接眼部が飛び出しているため鼻が液晶に当たらず快適だ。
EVFの表示品質はお世辞にも良いとは言いがたい。特にAF作動中はザラザラだ。
ピーキングを利用すればMFもまあ問題ないとは思うが、個人差もあるのではないだろうか。
サイズ感はSD1と変わらない。
社長が言っていたように、小型化のためのミラーレスではない。
次に縦グリップ、PG-41だ。
この縦グリップ、なぜかSIGMAのWebページには斜めから撮った写真一枚しか載っておらず、背面の操作部のボタン配置などを確認することができない。売る気あるのだろうか。
操作部はシャッターボタンのほか、ダイヤル二つ、AF・AELボタン、FUNCボタンと縦グリのON/OFFスイッチがある。シャッターボタン一つしか無かったSD1用の縦グリに比べれば素晴らしい進歩だ。
AF・AELボタンは本体側のセレクタで設定したほうが動作する。
この縦グリは非煙突式で、本体と縦グリ内で合計3個のバッテリを使用できる。バッテリの消費はどれを優先するか選ぶことはできず、3個全てのバッテリが均等に消費されていく。バッテリの管理をしたければ3箇所の内どこかに1個バッテリが入っていれば動作するので、1個ずつ使用するしかない。
本体側の縦グリ端子にはゴムカバーが付いており、これは縦グリに収納することができる。しかし縦グリ側の端子についている透明なカバーは収納場所がなく、紛失の危険が高い。
外観上で1点、縦グリにストラップホールがついていれば完璧だった。
私はこのようにストラップを取り付けるので、α900のように縦グリに直接ストラップが付けられると非常に便利なのだ。
このようにクイックシュー経由で付けると、縦位置で縦グリップを握ったときにクイックシューを一緒に握ることになりグリップ性が悪くなる。
また、同時発売のEF-630も同じようにSIGMAのWebページに写真一枚しか載っていない。スペックも200mm時にGN63(ISO100・m)としかわからず、各焦点距離でのGNすら載っていない。
縦グリはともかくEF-630は他社カメラユーザーにも売らねばならないアクセサリだろうに、売る気あるのだろうか?
前モデルのEF-610 DG SUPERと違い、ズームヘッドは望遠側が105mmまでから200mmまで伸びた。また、GNが61から63に上がっているが、EF-610は105mm時にGN61であることに対してEF-630は200mmでGN63となっている。
ズームヘッドは基本的に望遠側になるほどGNは大きくなるので、もしかしたら光量自体は落ちているかもしれないと思ったが、取扱説明書を読むと最大光量は少し上がっているようだ。
GNは配光モードという設定によって変わる。また、FP発光時は下がる。
配光モードはNORMALとGN優先発光、フラット発光(DIFFUSE)があり、それぞれ周辺光量が変化する。
以下に各配光モード時のフル発光GNを示す。
焦点距離 | 17mm | 24mm | 28mm | 35mm | 50mm | 70mm | 85mm | 105mm | 135mm | 200mm | |
NORMAL | 21 | 29.5 | 30 | 34 | 42 | 49 | 54 | 59 | 60 | 63 | |
GN優先 | - | 31 | 33 | 38 | 46 | 56 | 59 | 62 | 63 | - | |
フラット | - | - | 29.5 | 31 | 36 | 44 | 49 | 55 | 56 | 60 |
EF-610 DG SUPERと比べると、ズームヘッドが200mmまで対応したことで広角側のGNが割りを食ったようだ。
発光は1/128まで絞ることができる。
FP発光時のGNは面倒なので載せない。
操作部は十字キー・MENUボタン・テスト発光ボタン・ダイヤル・BEEP音ON/OFF切替・電源がある。
また、シンクロ端子を備えているため他社ストロボを繋ぐこともできる。
アクセサリーシューへの取り付けがねじ込みからレバーに変更されている。着脱が格段に楽になった。アクセサリーシューへ差し込む部分が樹脂製から金属製になったため、耐久性は良くなっていると思われる。
細かい点だが、EF-610ではバウンス角度が右は90度まで、左が180度だったが、EF-630ではどちらでも180度まで回転する。
1点EF-610のほうがよかった点が、スタンドの三脚穴が樹脂になった点だ。EF-610はここが真鍮だった。まあ、そんなに強く締め付ける必要はない箇所なので大した問題ではない。
現状、SIGMAのWebページにはEF-630の情報はほぼ皆無な状況のため、この記事が購入検討の一助となってくれれば幸いだ。
フラッシュ用のUSBドック、FD-11も購入している。
これは互換性問題の発生する可能性がある他社向けはともかく、SIGMA用で何のファームウェアアップデートが来るのか想像できない。私の予想ではおそらく使うことはほぼないんじゃないだろうかと思っている。
ちなみに試しに繋いでみたところ、FLASH USB DOCKは認識したがEF-630を認識してくれなかった。SIGMAのユーザーサポートに問い合わせたところ、初期不良の可能性があるようだ。製品を送り返し、調査してもらう。
2016/07/21追記
どうやらFLASH USB DOCK、EF-630ともに問題はないようだ。Mac版SIGMA Optimization Pro 1.3.0のバグの可能性が高いらしい。
現状EF-630用のファームウェアは何もアップデートがないので、接続できなくても何の問題もない。症状の発生するMacユーザは気長に待とう。
では作例。
【sd Quattro, Art 18-35mm F1.8, @35.0 mm F4.0, 1/160sec, ISO100】
【sd Quattro, Art 50-100mm F1.8, @100.0 mm F4.0, 1/1000sec, ISO100】
【sd Quattro, Art 18-35mm F1.8, @35.0 mm F4.0, 1/1600sec, ISO100】
【SFD】
【sd Quattro, Art 18-35mm F1.8, @35.0 mm F4.0, 1/2000sec, ISO100】
【sd Quattro, Art 50-100mm F1.8, @100.0 mm F5.6, 1/250sec, ISO100】
【sd Quattro, Art 18-35mm F1.8, @18.0 mm F5.6, 1/640sec, ISO100】
【sd Quattro, Art 50-100mm F1.8, @100.0 mm F5.6, 1/160sec, ISO100】
【sd Quattro, Art 50-100mm F1.8, @100.0 mm F2.8, 1/500sec, ISO100】
【sd Quattro, Art 18-35mm F1.8, @18.0 mm F2.8, 1/250sec, ISO100】
【sd Quattro, Art 50-100mm F1.8, @66.0 mm F4.0, 1/125sec, ISO100】
【sd Quattro, Art 50-100mm F1.8, @100.0 mm F2.8, 1/60sec, ISO100】
【sd Quattro, Art 18-35mm F1.8, @35.0 mm F2.8, 1/100sec, ISO100】
【sd Quattro, Art 18-35mm F1.8, @35.0 mm F2.8, 1/60sec, ISO100】
【sd Quattro, Art 18-35mm F1.8, @23.0 mm F4.0, 1/15sec, ISO100】
【sd Quattro, Art 50-100mm F1.8, @50.0 mm F5.6, 0.5sec, ISO100】
【sd Quattro, Art 50-100mm F1.8, @50.0 mm F5.6, 8sec, ISO100】
【sd Quattro, Art 18-35mm F1.8, @35.0 mm F8.0, 30sec, ISO100】
一枚だけ注目の新機能、SFDで撮った写真がある。このSFDだが、現時点では活用するのは非常に難しい。少しでもズレが生じると画像が破綻してしまう。流れる雲、風で揺れる木々すべてアウトだ。
どのような破綻が生じるかというと、動いた箇所の境界がギザギザになる。
ではこれが活かせる場面は? おそらく現時点ではモノ撮りくらいではないだろうか。
他社マルチショットでペンタックスのリアルレゾリューションでも格子状のノイズが発生するため、改善は難しいのかもしれない。
ただ、SFDを使っていて一枚だけ車が通った写真があったのだが、そのように大きく違う箇所は自動的に無視されるようだ。
また、制御面でのマズイところも見つけた。AモードでSFDを行うとSSを調整して合成するのだが、その際プラス補正の写真でSSが30秒を超えてしまう場合はすべて30秒で撮影されてしまう。もちろん明るさは変わらない。夕暮時であったので、むしろ+2、+3のほうが+1より暗くなってしまった(SFDは±0→-3→-2→-1→+1→+2→+3の順番で撮影する)。
ダークノイズ減算は切れないため、プラス補正すべてでSSが30秒のときは3枚撮るのに3分かかってしまった。
そして一つ非常に疑問なのが、なぜ電子シャッターを搭載していないのか。
sdQのメカシャッターは動作時に僅かにシャッターショックを感じる。SD1でミラーアップしたほうがショックは少なかったのではないだろうか。
マルチショットにメカシャッターを使うメーカーが他にあるだろうか。これではよほど頑丈な三脚でない限りブレる。
現状、SFDの難度と得られる効果を天秤にかけると、私には使う意義はあまり見いだせない。
今回は18-35mmと50-100mmで撮影したが、SGV以前のレンズではAFがうまく合焦しないものもあると発表されている。
手持ちのSGV以外のレンズで簡単にAFを試した。なお試したのはAF-Sのみで厳密に精度までは確かめていない。
・8-16mm F4.5-5.6
問題なく動いているようだが、AFを動かすたびに合焦位置が多少ずれる。もともと被写界深度が深すぎて、多少ずれていてもよくわからない。
・17-50mm F2.8
・50mm F1.4(BBL改造品)
問題なく動く。
・MACRO 70mm F2.8
・MACRO 105mm F2.8
・MACRO 180mm F2.8
合焦しない。AFは諦めたほうがいい。
twitterではsdQ発売前に散々愚痴を並べ立てていたが、実際に使った率直な感想としては素晴らしいの一言だった。
撮影後ほんの1秒程度で確認できるプレビュー、詰まらないバッファと書き込み速度、だいたいのピント位置と色がわかる液晶、画像再生画面の拡大・縮小等レスポンスの良さ、ライブビューでの拡大MF、AWBの正確さ、電池の持ち、長秒露光での電池消費の少なさ。
どれもSD1に慣れていると感動モノだ。
できることならばこれがOVFで出てくれば最高なのだが。
もちろんOVFがないこと以外に不満点はある。
・QSでSFDのON/OFFを割り当てられるようにして欲しい
・コントラストの低い被写体にはピーキングが反応してくれない(LX100では反応するレベル)
・縦グリップにストラップホールが欲しかった
・電子シャッター、電子先幕シャッターが欲しい
・SFD撮影時、キャンセルする選択肢が欲しい
・電子水準器で水平と判断する範囲が広すぎる
・縦グリ使用時、バッテリを一個ずつ消費して欲しかった
・マウント部のダストプロテクタをSD1くらい簡単に取り外せるようにして欲しかった
いくつかはファームウェアアップデートで良くなっていくと思われる。SD1も当初は露出もAFも全く信用できないカメラだったのが、現在ではそれなりに信用できるようになったので、sdQもこれからまだ良くなっていく部分はあるだろう。
追記
sd Quattro Hはこちら。
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