40mm F1.4 DG HSM | Art

 SIGMAから40mm F1.4が発売された。  今回のフォトキナで発表されたレンズの中で一番期待していたものだ。発表時点からその重さ大きさ、レンズ構成、MTF曲線を見てこれは凄まじいレンズになると確信していた。CP+で発表され、実際に凄まじいレンズだった105mm F1.4と同じ雰囲気を纏っていたのだ。  まずはレンズ外観だが、今回のフォトキナ発表分のレンズからハードウェアに大きな変更がひとつあった。レンズフードだ。  フードにボタンが付き、ロックが可能になった。これによりフード紛失のリスクが大幅に減り、また花形フードでロック位置まで回さなかったことによるケラレのリスクも減った。個人的にはそのどちらも経験していないが……  SONYの135mm ...

今までありがとう、SAマウント。

©Lマウントアライアンス  フルサイズミラーレス旋風吹き荒れる2018年。ライカ、パナソニック、シグマの3社はフォトキナ2018にて『Lマウントアライアンス』を発表した。  これはライカがすでに販売しているライカSL、TL、TL2、CLに採用されているLマウントを、ライセンスが付与されたパナソニック・シグマも共通して利用し、各社のカメラ・レンズを相互に利用できるものだ。仕組みとしてはマイクロフォーサーズ規格と似たものとなる。  さて、我らがSIGMAはこのLマウントアライアンスへの参加でどのような動きを取るか。フォトキナにて今後の方針が発表された。 ・2019年に35mm判Foveon機をLマウントで出す。 ・今後SAマウント機の開発は行わない。 ・SAマウントレンズに関しては当面の間継続して販売する。 ・SA-L、EF-Lのマウントアダプタを開発し、Lマウントカメラと同時に発売する。  1993年発売のSA-300から続いたSAマウント機25年の歴史が、幕を下ろした。  正直に言えば、寂しさがある。ショートフランジバックのLマウントしか採用しないということは、一眼レフは今後出る可能性がゼロということだからだ。  しかしカメラの動作が全体的に遅いFoveon機にとってミラーレス化というのは正統進化である。さらにsdQがミラーレス化した時点でマウント変更も必然だった。  DMC-G1が登場して10年。35mm判も各社出揃い全盛期を迎えるミラーレスでも、いまだに一眼レフがアドバンテージを持つ部分は存在する。遅延ゼロの光学ファインダーとAF速度だ。  ファインダーは言わずもがな。AF速度に関しては位相差のみで合わせる関係上、精度を犠牲にしても速度は速い(ミラーレスの像面位相差でもコントラスト式の追い込みを省けば似たような速度になる可能性はある)。  しかし、それらの利点がどこで生かされるかといえば、主に動体撮影だ。  ではSIGMA製カメラで動体撮影を行うか?  SAマウント機において最速の連写速度を持つSD1でも5枚/秒(画質設定を下げれば6枚/秒)であり、7枚撮影すれば書き込み完了までに1分半を要する。そもそもAFが弱くAF-Cで撮影してもピンボケ写真を量産するばかり。MFで動体を追え、少ない枚数で上がりを得られる特殊な技能を持っていなければ使えるものではない。それならばEOS ...

メガネの話

 私はメガネがないと生活がままならないド近眼である。乱視は殆どないのだが、右目が-8.25D、左目が-7.50Dという度数のメガネを使用している。----【追記】更に度数は進み、乱視も入ってきた。----  ところで、メガネも光学製品である。そのためカメラオタクが興味を持ち、こだわりを持ち、複数本持つのは自然の摂理と言える。  現在所有しているメガネは以下の通り。 ・ZEISS プンクタール ガラス球面 n=1.60, v=41.7 (999.9) ・伊藤光学 ガラス球面 n=1.52, v=58 (GOLD&WOOD) ・ホッタレンズ(TSL) ...

500mm F4 DG OS HSM | Sports

 SIGMAのSportsラインフラグシップ、ゴーヨンを入手。私の所有レンズの中で最長の焦点距離、最大の入射瞳径のレンズだ。  このレンズの特徴の一つは、SIGMA製レンズの中で唯一レンズ側に(切り替えスイッチではなく)ボタンがあることだ。レンズ先端側にあるボタンでAF-ON、AFL、フォーカスプリセットを使用できる。動き物を撮らない私は活用することはなさそうだ。  また、レンズフロントキャップが一般的な超望遠と同じく布のかぶせ式になっている。この点は致し方ないが、脱着が面倒であり使い勝手は良くない。そう考えると120-300mmの105mmキャップは超望遠の入り口である300/2.8でも利便性を失わない便利な装備だった。キヤノン、ニコンは300/2.8でも布のかぶせ式となっている。まあ、300÷2.8の計算結果を考えると105mmのフィルタ径は良いことばかりでもないのだが。  閑話休題、このレンズが間違いなく世界一と言いきれる点が一つある。三脚座である。50-100mmを持っている方ならわかるが、三脚座の回転に適度なトルク感がある。ピントリングやズームリングのトルク感は気にする人も多くメーカもこだわっている部分だが、三脚座にまでトルク感を持たせているメーカはなかなかない。更に縦位置横位置の切り替えを簡単正確にするために90度刻みのクリック感があり、のみならず一脚で流し撮りをする際にそのクリック感が邪魔になることがあるという声からクリック感のON-OFF切り替えまで装備している。一般的な三脚座はレンズを支えて角度が変えられればそれでよいというレベルで終わっているが、SIGMAはそこからひとつふたつ進んだ次元の三脚座を作り上げた。  前述の通りスチル用レンズでもピントリング・ズームリングのトルク感を気にする人は多い。ならば三脚座でも同様に評価されることは考えてみれば当たり前だ。この三脚座は現在存在するレンズの中では確実に世界最高のものである。  一つ辛いのが、アクセサリー類の値段だ。フロントプロテクターは専用品となり、定価54,000円。PLフィルタは専用のドロップインタイプが別売りで定価48,600円。三脚座をアルカスイス互換に換装するレンズフットは定価30240円。これらを一式揃えたらかなり良いレンズが買えてしまう。フロントプロテクターは専用のレンズキャップが付属するため使い勝手が向上するだろうし、PLも欲しくはあるし、レンズフットも全てアルカ互換で統一している身としてはあったほうが便利だが、流石にポンと買える値段ではない。数が出ないだろうから仕方がない値段なのだろうが……  使い勝手の面では、やはり3310gは重い。105mm ...

70mm F2.8 DG MACRO | Art

 かつてSIGMAから発売されていたマクロレンズ、MACRO 70mm F2.8 EX DG。硝材のディスコンにより販売中止となった通称『カミソリマクロ』が、SGVのArtラインとして復活した。  まずは外観だが、旧70mmと比べるとわずかに細く長くなった。フードがだいぶ長くなったため、フード込みではかなり長くなった印象がある。重さに関してはどちらもほぼ同じくらいだ。むしろ新型のほうが10g軽くなってすらいる。  大きな変更はフードだ。旧70mmはなんとねじ込みフード。脱着の利便性としては最悪だ。逆付けもできない。そしてフォーカシングに応じて繰り出す前玉にフードが付く構造だ。これは一般的。  新しい70mmはバヨネットとなり、脱着の利便性が大きく向上した。また、フード固定部が前玉部ではないため、フォーカシングによってフードが動かない。これがマクロ撮影ではありがちな「近接撮影時に被写体にフードがぶつかる」「近接時にフードの影が被写体に落ちる」といった現象を防いでいる。このフードはとても良くなった。  最大の特徴はフォーカスバイワイヤになったことだ。私はフォーカスバイワイヤが大嫌いなので先入観を持って試したが、思ったほど悪くはなかった。特にAFで使う分には、当たり前だがなんの違和感もない。ただHSMに慣れていると駆動音がうるさい。動画でAFを使う人は確実に駆動音が録音されてしまうだろう。  バイワイヤなためMF時に回転速度に応じてピントの移動量が変わるが、その変わり方が唐突な印象がある。ピント合わせを行う際、ゆっくりと回転させると0.1mm単位の微小なピント調節を行うような速度だが、そこから少し速度を早めると突然5mm単位くらいでの荒い調整をするような速度に加速する。前者は遅すぎ、後者は早すぎる。そしてその中間がなく唐突に速度が切り替わるため、ピントの行き過ぎが発生する。三脚を立て厳密なピント合わせを行うには良いが、手持ちでややラフにピント合わせをするならば扱いにくい。  しかしこれは電子制御によるものだ。ファームウェアアップデートによって改善する可能性はある。現状に慣れた人にとってはいまの操作感を捨てることにもなるので、一概にアップデートされたほうがいいとは言い切れないが……  今回の70mmのためにsdQ/sdQHのファームアップが行われ、電源OFF時にフォーカスが無限遠へと戻るようになった。しかしレンズ交換時には当然自動で縮んでくれはしないため、レンズ交換はいちいち電源を切るかMFで無限遠に戻す必要がある。SD1以前のカメラでは電源OFF時に無限遠復帰の機能もない。SD10以前のカメラでは公式に非対応を明言されているが、手持ちのSA-300で試したところ「AFは動くがMFは反応なし」という動作だった。そのためSD10あたりでもAFだけならば動くと思われる。ただし無限遠に戻す手段が存在しない。  ちなみに同ファームウェアでSFD時に高速側SSを1/500までに制限する機能が追加された。私が社長にリプライしたものだ。こうした意見を取り入れてくれるSIGMAが私は大好きだ。ちなみに低速側の制限はないんでしょうかね……?  全体的なデザインもいままでのArtレンズとはやや文脈が異なっているように感じる。その一番の理由は「細い」からだと思うが、マウント部がストレートに伸び距離指標窓がないだけで見た目がだいぶ変わって見える。  光学性能だが、まずは旧70mmと比較してみよう。マクロレンズであるが近接での評価は難しいので、無限遠で評価する。 ・中央解像度 .table1 ...

105mm F1.4 DG HSM | Art

 SIGMAより105mm F1.4が発売された。今年のCP+で発表された中で最も期待していたレンズだ。  今回、レンズの付属品がいつもより多かった。レンズケースに取り付けるストラップ以外にストラップがもう一本、ビスが二本とビス用の六角、三脚座用の化粧リングが一個。  ストラップは三脚座に取り付けるためのものだ。私はストラップをつけるにしてもPeak Designのアンカーを付けるので無用。ビスはアルカ互換三脚座の底面に取り付け、対応する雲台で脱落防止ピンとして働く。私はこのタイプの脱落防止に対応する雲台を持っていないし個人的には邪魔に感じるので付けない。  三脚座は化粧リングがついてくることから分かる通り、脱着可能となっている。このため50-100mmや500mmのような上質な回転はなく、90度刻みのクリック感もない。しかしこの大きさのレンズに三脚座は個人的には不要に思うので、脱着できる方がうれしい。500mmはともかく50-100mmも脱着可能でもよかったなぁと思わないでもない。  しかしアルカスイス互換になったのはうれしい。マンフロット405もアルカスイス互換に改造している身にはわざわざプレートを付けなくて済むのはありがたい。  ハードウェア面ではフードがバヨネットではなく超望遠に付くようなネジでの脱着となったことも特徴的だ。フード先端がゴムとなっていることから考えてもおそらく前玉側を下に立てて置くことを想定したものではないかと思われるが、このサイズのレンズで立てて置くことがあるかは疑問に思ってしまう。バヨネットで脱着が楽なほうがよかった。 【追記】  フードがバヨネットでない理由は直径が大きいと強度面でバヨネットにできないかららしい。  今回からEマウント用も用意されている。レンズの全長がフランジバック分だけ長くなるためSLR用のパッケージでは対応できなくなるのでどのような対策を取るのかと思ったが、付属のレンズケースが上げ底構造になっていた。これなら詰め物を取るだけでEマウントにも対応できる。  描写に関してだが、CP+のセミナーの内容を聞くに素晴らしい写りをするはずだ。  では、以下作例。 【sd ...