大口径超広角レンズ、14mm F1.8が発売された。

 現在、所有している広角レンズとしては
・8-16mm F4.5-5.6 DC
・18-35mm F1.8 DC
・20mm F1.4 DG
・14mm F1.8 DG
 あたりが選択肢としてある。(12-24mm F4は持っていない)
 これらをsdQHで使用するとしてDCで1.5倍、DGで1.33倍の換算倍率をかけると、
・8-16mm → 12mm
・18-35mm → 27mm
・20mm → 26.6mm
・14mm → 18.62mm
 となる。このうち8-16mmはSGV以前のレンズで、sdQ系統でAFは公式には非対応であること、周辺に像の流れがあること、F4.5-5.6と暗いこと、暗いゆえに絞っての改善がしにくいことから次点。
 他のレンズは「超広角」と呼べる焦点距離ではない。
 描写性能・明るさを加味すると、超広角としての選択肢はこの14mmだけと言っていいだろう。

 使ってみての感想だが、まず解像力は素晴らしい。
 さらにかなり寄ることができる。最大撮影倍率自体は1:9.8と低いが、最短撮影距離は27cmとなっている。ワーキングディスタンスで考えると約10cmほどだ。前玉が当たりそうなくらい寄ることができる。
 また、私が所有しているSIGMAのレンズの中でも逆光耐性は指折りの性能だ。85mmや120-300mmなんかは逆光で緑色のフレアが画面を覆い尽くしたが、14mmでは小さなゴーストしか確認できなかった。太陽をフレームに入れてもへっちゃらだ。

 描写性能以外の面では、久々にレンズを重いと感じた。重量自体は85mmや135mmよりも10g軽いくらいなのだが、それらに比べて大きさがさほどでもないので密度感がすごい。
 超広角の特徴とも言える突出した前玉だが、真横から見ると固定式フードよりも飛び出ている。ふとしたときに触ったりぶつけたりしないか気になったので、扱いは多少気を使う。


 以下、作例

_DQH0364
【sd Quattro H, 14mm F1.8 DG HSM | Art 017, @14.0 mm F2.0, 1/3200sec, ISO100】

_DQH0392
【sd Quattro H, 14mm F1.8 DG HSM | Art 017, @14.0 mm F8.0, 1/1600sec, ISO100】

_DQH0396
【sd Quattro H, 14mm F1.8 DG HSM | Art 017, @14.0 mm F5.6, 1/2000sec, ISO100】

_DQH0436
【sd Quattro H, 14mm F1.8 DG HSM | Art 017, @14.0 mm F5.6, 1/4000sec, ISO100】

_DQH0440
【sd Quattro H, 14mm F1.8 DG HSM | Art 017, @14.0 mm F5.6, 1/1250sec, ISO100】

_DQH0445
【sd Quattro H, 14mm F1.8 DG HSM | Art 017, @14.0 mm F5.6, 1/800sec, ISO100】

_DQH0454
【sd Quattro H, 14mm F1.8 DG HSM | Art 017, @14.0 mm F5.6, 1/2500sec, ISO100】

_DQH0457
【sd Quattro H, 14mm F1.8 DG HSM | Art 017, @14.0 mm F4.0, 1/400sec, ISO100】

_DQH0459
【sd Quattro H, 14mm F1.8 DG HSM | Art 017, @14.0 mm F4.0, 1/800sec, ISO100】

 換算18.6mmの広さ・強烈なパースが気持ちいい。
 灯台の写真が一番ゴーストが酷かったものだが、それでもこの程度で収まっている。太陽をフレームに入れたものでも1枚目はほんの少しゴーストは出ているが、2枚目はゴーストすら見当たらない。ここまで逆光に強いレンズはSIGMAにはなかなかない。
 いままでは単焦点中心では広角がカバーできないために18-35mmを持ち出すことが多かったが、このレンズのおかげで単焦点中心の撮影が捗りそうだ。

 SIGMAのsd Quattroが発売されてから、本日7月7日で一周年となる。
 sdQは発売日に予約購入したので、私がsdQを触ってからもちょうど一年が経った。とはいえ昨年12月以降はもっぱらsdQHばかり使っていたのだが、まあ大きな違いはないとしてsdQ無印・sdQH双方を含めたインプレッションをまとめる。

_DQH0332
【sd Quattro H, 18-35mm F1.8 DC HSM | Art 013, @35.0 mm F4.0, 1/100sec, ISO100】

 昨年の2月23日、sd Quattroが発表された。その日に書きなぐった記事がこれだ。

sd Quattro / sd Quattro Hが発表された | 五海里
http://illlor2lli.blogspot.jp/2016/02/sd-quattro-sd-quattro-h.html

 当初、OVFが好きな私にはミラーレス化した後継機には非常に否定的だった。今読むとさすがにひどすぎたかと少々反省している。
 CP+でも試作機を試したが、EVFの表示品質の低さとバッファ開放速度の改善の2点に目が行った。

_DQH0327
【sd Quattro H, 18-35mm F1.8 DC HSM | Art 013, @35.0 mm F2.0, 1/200sec, ISO100】

 その後、sd Quattro無印が発売。予約購入。

SIGMA sd Quattro | 五海里
http://illlor2lli.blogspot.jp/2016/07/sigma-sd-quattro.html

 この時点でSD1に比べて非常に快適なカメラだという印象を持った。

 撮影後ほんの1秒程度で確認できるプレビュー、詰まらないバッファと書き込み速度、だいたいのピント位置と色がわかる液晶、画像再生画面の拡大・縮小等レスポンスの良さ、ライブビューでの拡大MF、AWBの正確さ、電池の持ち、長秒露光での電池消費の少なさ。
 どれもSD1に慣れていると感動モノだ。

 また、この記事では挙げていなかったが、何よりもありがたい改善が「AFの正確さ」だった。SD1ではAFで撮影していると精度が低いために非常に歩留まりが悪かったが、sdQになってからはピントを外すということはほぼなくなった。これだけで失敗写真として捨てる割合が激減したのだ。コントラスト式で合わせているので当たり前の話ではあるが、SD1のAFを使っていた身には革命的だった。
 AF速度はこの時点では亀の歩みだったが、動体を撮らない私にはさほど問題になるものでもなく、精度向上の恩恵のほうが大きかった。
 しかしAF面の問題は速度だけではなかった。SGV以前のレンズでのAFが非対応なのだ。
 私の手持ちレンズではほとんどのレンズは問題なかったが、マクロレンズは全てAFが使い物にならなかった(過去形)。
 CP+での試作機で気になった点のひとつであるEVFの表示品質だが、光量が十分でないCP+の会場で短時間試しただけの印象と比較してだが、多少マシにはなった気がする。ただしかなりハッキリとしたコンニャク現象が見られるため、動体を撮る気には全くなれない。

sd Quattro背面液晶のローリングシャッター現象 | 五海里
http://illlor2lli.blogspot.jp/2016/07/sd-quattro_17.html

 遅延も少ないとは言えないレベルだ。
 もう一点のバッファ開放速度だが、こちらも計測して記事にしている。

sd QuattroにおけるSDの速度が与える影響 | 五海里
http://illlor2lli.blogspot.jp/2016/08/sd-quattrosd.html

 こちらもCP+での試作機と比較すると随分と良くなったように思える。 そもそもCP+の時点でSD1より遥かに良かったので、何の不満もない。

_DQH0173
【sd Quattro H, 85mm F1.4 DG HSM | Art 016, @85.0 mm F5.6, 1/640sec, ISO100】

 その後、sd Quattro Hが発売。こちらも予約購入。

SIGMA sd Quattro H | 五海里
http://illlor2lli.blogspot.jp/2016/12/sd-quattro-h.html

 基本的にはsdQ無印よりセンサーが多少大きくなっただけのカメラだ。
 私の個人的意見としては、高精細化よりも広角で撮れることのほうがありがたい。クロップ倍率が無印の1.5から1.33になっている。
 記事内では無印との違いはセンサーサイズのみと書いたが、実はサイズ以外に2点無印より改善がある。AF速度と読み出し速度だ。
 AFに関しては無印の亀の歩みが人の徒歩くらいになった。無論、動体を撮れるレベルではない。また、上にマクロレンズはAF不可と書いたが、sdQHではAFによる合焦が可能になっている。
 読み出し速度の向上では、連射速度が無印の3.6fpsから3.8fpsに微増している。無論、無印だろうがHだろうが連写用途に使える速度ではない。バッファ開放速度自体はデータ量の増加から無印のほうが優秀だった。

sd Quattroとsd Quattro Hの書き込み速度比較 | 五海里
http://illlor2lli.blogspot.jp/2017/04/sd-quattrosd-quattro-h.html

 微々たる変化ではあるがAF速度の向上は嬉しい点だ。

SDQ_0532
【sd Quattro, Art 18-35mm F1.8, @25.0 mm F2.8, 1/100sec, ISO100】

 以上がsdQを使っての印象だ。

 最後に良い点・悪い点をまとめる。


  • 良い点

・AF精度の良さ★★★
 sdQを使っていて一番恩恵を受けたのがここ。
 SD1に比べるとあまりにも、あまりにも快適すぎる。

・バッファ開放速度★★★
 SD1に比べると単写ではバッファの存在を意識することがなくなった。

・AWBの優秀さ★★☆
 AWB、もしくはAWB(色残し)だけでカラー調整を触る必要がほぼなくなった。
 しかしSD1では狂った色を自然な色、目的とする色に合わせる作業自体を楽しんでもいたため、写真を撮るためにカメラを使うのではなくカメラを弄るために写真を撮る人間にはやや物足りなさを感じる。

・色の自然さ★★★
 SD1では赤外線をカットしきれていないためかマゼンタに転ぶことが多かったが、sdQでは自然な色が出る。

・sdQHの大センサー★★★
 所有レンズの多くがDGであり、広角が好きな私にとってはクロップ倍率1.33倍はうれしい。

・液晶の優秀さ★★☆
 優秀というか、あまりにもひどかったSD1に比べて並レベルになってくれた。

・2ダイヤルが2ダイヤルとして使える★☆☆
 SD1の絞り優先で前ダイヤル・後ろダイヤル共にF値の変更が割り当てられているほうがどうかしている。後ろダイヤルが露出補正に使えるようになったため便利になったが、出来て当たり前だ。

・背面に飛び出したファインダー★★★
 鼻が液晶に当たらない。液晶の汚れもなく窮屈さも感じない。

・縦グリップの機能向上★★☆
 SD1のレリーズボタンだけ、ダイヤルすらなくF値を変えることもできない縦グリップから素晴らしい進化を遂げた。とはいえこれもようやく並レベルになったのかもしれないが。
 しかし非煙突式でバッテリーを本体1+縦グリ2の3個を同時に使用できるようになったのは他社に比較しても優れている。できれば3個全てを同時に消費するのではなく、一個ずつ消費する形式であれば最高だった。



  • 悪い点

・SS最高速が1/4000★★★
 SD1では1/8000が切れたのに比べると、このたった1段が辛く感じることが予想以上に多かった。特に晴天時にF1.4レンズを多用することが多い私には1/8000が欲しかった。

・白飛び気味なAE★☆☆
 輝度差が大きいシチュエーションでは、たいてい高輝度部が飛ぶ。sdQを使っている時は常に露出補正を-0.7〜-1.0段掛けっぱなしで使用している。露出補正で問題なく対応できているので大きな問題ではない。

・電子先幕シャッター、電子シャッターがない★★☆
 解像感をウリにするFoveonでこれがないのはお粗末。挙句SFDの7連写をメカシャッターでやらせるのは意味不明。

・SFD使用時、露出補正が不可能な範囲でも何の警告もない★☆☆
 SSの範囲は1/4000〜30秒のため、±3段の露出補正で撮影するには±0段時に1/500〜4秒の範囲でなければ露出補正が不可能になる。例えば±0段でSS8秒の場合、+1段が15秒、+2段が30秒、+3段でも30秒(実質+2段)となり+3段の撮影が不可能になる。
 厳密に調査してはいないが、+側が本来得たい露出よりも暗くなった場合は逆にノイズが増えている印象がある。
 SSが1/500〜4秒から外れた場合は警告を出すべきだ。
【2018/8/13追記】
 ファームアップにより1/500以上の高速シャッターが規制された。なぜか低速側はないようだが……

・グリップ形状★☆☆
 SD1のグリップが優秀過ぎた。あれと比較すると同等以上と評価できるカメラは殆ど無い。
 また、縦グリ非使用時は小指が余る。

・電子ファインダーの品質は高くない★★☆
 遅延、コンニャク現象、像質共に品質が高いとは言えない。動体、特に不規則に動く虫や鳥などを撮るのは不可能と思ったほうがいい。
 まあ、動体を撮るカメラではない。

・AFが遅い★☆☆
 精度を考えればこの程度ストレスにはならない。
 なぜかAF-Cの設定が可能だが、存在意義がわからない。当然動体は撮れない。MFで追うのもファインダーの関係で不可能と思ったほうがいい。
 まあ、動体を撮るカメラではない。

・光軸からオフセットされたファインダー★☆☆
 これはむしろ歓迎されているのかもしれない。右目で覗いたときに光軸が顔の中心に来ること、右手上の縦位置で違和感なく覗ける位置になることを見ると、よく考えられた配置だと思う。
 しかし、MACRO 180mmに2倍テレコンを付けた360mm 2倍マクロで最短付近を撮ろうとすると、自分がどこを覗いているのか全くわからなくなる。たいていファインダー内の景色は意図した位置よりも左側だった。
 光軸上にファインダーがあるSD1ではこのような現象はなかったため、光軸上のファインダーに慣れた人間には極端な条件ではデメリットが現れるのではないかと思う。そして特にメリットを感じたことはない。
 また、私は縦位置を撮る時は残念ながら右手下で撮る。

・絞りプレビューがない★☆☆
 あまり使わないが、ミラーレスで絞りプレビューをする術がないのもどうなのだろうか。


 総じて評価すると、SD1と比較して遥かに快適なカメラに進化している。特にAF精度が素晴らしく、この一点だけで七難隠す。
 発表当初はOVFがないことから不満だらけだったが、実際に使ってみると素晴らしいカメラだった。
 しかしメリットの殆どはLV付き一眼レフでもいいのではないかと思う。LVF-01が装着可能なLV付き一眼レフ、出してくれませんかね。

 最強の撮影機材とは何か?
 風景を撮るものにとっての一つの答えが「車」である。


 というわけでデミオを購入。
 グレードは2016年10月に加わった特別仕様車のXD Tailored Brown。色はもともとディープクリスタルブルーマイカを選ぶつもりだったが、実物はカタログよりも随分と色が濃く、エターナルブルーマイカを確認したらこちらのほうがイメージに近かったためエターナルブルーマイカにした。カタログの色、実物とあまりに違いすぎません?

マツダのカンタン見積り上でのエターナルブルーマイカ

 なぜデミオにしたかというと、ディーゼルが面白そうでデカい車が嫌いだったから。国産車でディーゼルかつコンパクトカーとなるとデミオ一択となる。
 あとは見た目も好きなタイプで評判もよさそうだったからだ。
 正直、車は一生買わないと思っていたので知識が殆どない。本当にこの程度の理由で決めた。

 燃費はまだ少ししか乗っていないが、カタログ燃費26.4km/lに対して下道で22km/lほど、高速で25km/lほどだった。
 しかし燃費と軽油の価格差でガソリン車との差額が回収できるかと言われると、特に計算はしていないがまあ無理なんじゃないだろうか。


 内装も特別仕様車だけあって質感は高い。今までほとんどレンタカーしか運転したことがない人間にはとても高級に思える。
 特別仕様車でない上のグレードでL Packageというものがあるが、本革シートというのが気に入らない。冬寒いし、汗をかく場所に革は使いたくないのだ。
 Tailored Brownに使われているグランリュクスという素材は人工皮革という話だったので、私にはこちらのほうが好みだった。


 また、一点不満がある。ネット上でも非常に評判が悪い、マツダコネクトだ。ナビ自体は日本製のソフトウェアに変更されたとのことで機能自体は特に悪いとは感じなかったが、起動が遅い。遅すぎる。この起動の遅さだけはなんとかしてほしい。


 2016年10月の年次改良でアダプティブLEDヘッドライトやG-Vectoring Control、クルーズコントロールなど新機能が色々と追加された。ALHなどは上位車種のアテンザよりも高性能になっている。このあたりマツダはペンタックスと似た印象だ。
 残念なのは自動ブレーキ機能が最新のアドバンストSCBSでない点だ。予防安全性能試験でアクセラが最高得点を取ったが、デミオに搭載されているのはミリ波レーダーしか使用しないSCBS、SBSだけだ。歩行者検知もない。アクセラよりも車重が軽いデミオに搭載されていれば日本一安全な車になったのではないだろうか。
 安全性という重要な部分でケチるようなことはしてほしくなかった。ALHや車線逸脱警報のためにカメラを積んでいるのだし、フレームが共通のCX-3では採用しているのだから、搭載できないわけがない。せめてオプションで選ぶことができればよかったのだが。

 後席についてはオマケでついてるレベルとも言われるデミオだが、助手席に乗せる人のあてすらないので全く困っていない。
 助手席に乗るのは愛しのカメラだけだ。

 sd Quattroの無印がHに勝っている点が一つだけある。バッファの開放と書き込み速度だ。
 無印よりもHのほうがデータ量が多いため、この点は致し方ない。

 SD1とsdQ無印の書き込み速度は過去記事にて計測している。

SD1におけるCFの速度が与える影響 | 五海里http://illlor2lli.blogspot.jp/2016/03/sd1cf.html

sd QuattroにおけるSDの速度が与える影響 | 五海里http://illlor2lli.blogspot.jp/2016/08/sd-quattrosd.html

 この記事ではsdQHのSDカードによる速度変化と、無印とHでの書き込み速度の比較を行う。

 使用するSDカードは、以前のsdQテストで最も速かったものと遅かったもの、
・SanDisk Extreme Pro 256GB UHS-I Class3
・台湾製ノーブランド 4GB Class4(microSD)
の2種類を使用した。

 計測条件は
・連写モード
・記録モードはRAWのHIGH、jpgなし
・Mモード、絞り開放、SS1/4000
・バッファフルの8枚まで連写
・連写終了〜バッファ8枚開放、書き込みランプ消灯までの時間を計測
 とした。

 結果は以下の動画で。


 以前のsdQ無印の結果も含め表にまとめると以下のようになる。

使用メディアバッファ開放書き込み完了
SanDisk Extreme Pro 256GB UHS-I Class321秒36秒
台湾製ノーブランド 4GB Class4(microSD)36秒1分52秒
(参考)sdQ無印でのExtreme Pro9秒39秒

 見ての通り、sdQ無印のほうが書き込みは速い。書き込み完了までは3秒遅いが、12枚の書き込みであるため1枚あたりの時間は2割強速い計算だ。
 とはいえ、sdQHはセンサからの読み出しが高速化されている影響で連射速度が無印の3.6枚/秒から3.8枚/秒にわずかながら高速化されている。
 「連写を使うならsdQ無印」とは一概には言えない。連射速度か、書き込み速度か、どちらを求めるかにもよるだろう。

 根本的な話をすると、SIGMAのカメラに連写など求めるほうがおかしいのでsdQHを買っておくべきなのだが。

 最近珍しい135mm単焦点。
 「欲しいから買った」というより、「SIGMAが出したから買った」という購入動機だ。
 実際に使ってみて、私はこのくらいの中途半端な望遠がとても苦手だと思った。sdQHで換算180mmとなる。広角好きとしてははやく14mm F1.8を出して欲しい。

 例によって大きくて重い。とはいえ85mmと同じ重さなので特に気にはならなかった。
 85/1.4よりも入射瞳径は大きいがフィルタ径はむしろ小さくなっている。

 SIGMAにしては珍しく、桜の季節に新製品が出たため桜を撮ってきた。実はカメラを始めてから桜を撮るのは初めてだ。
 以下、作例。

_DQH0211
【sd Quattro H, 135mm F1.8 DG HSM | Art 017, @135.0 mm F1.8, 1/500sec, ISO100】

_DQH0212
【sd Quattro H, 135mm F1.8 DG HSM | Art 017, @135.0 mm F1.8, 1/1000sec, ISO100】

_DQH0214
【sd Quattro H, 135mm F1.8 DG HSM | Art 017, @135.0 mm F1.8, 1/250sec, ISO100】

_DQH0217
【sd Quattro H, 135mm F1.8 DG HSM | Art 017, @135.0 mm F1.8, 1/250sec, ISO100】

_DQH0225
【sd Quattro H, 135mm F1.8 DG HSM | Art 017, @135.0 mm F2.8, 1/500sec, ISO100】

_DQH0238
【sd Quattro H, 135mm F1.8 DG HSM | Art 017, @135.0 mm F1.8, 1/1600sec, ISO100】

_DQH0239
【sd Quattro H, 135mm F1.8 DG HSM | Art 017, @135.0 mm F1.8, 1/640sec, ISO100】

_DQH0240
【sd Quattro H, 135mm F1.8 DG HSM | Art 017, @135.0 mm F1.8, 1/250sec, ISO100】

_DQH0242
【sd Quattro H, 135mm F1.8 DG HSM | Art 017, @135.0 mm F1.8, 1/1000sec, ISO100】

_DQH0243
【sd Quattro H, 135mm F1.8 DG HSM | Art 017, @135.0 mm F1.8, 1/640sec, ISO100】

_DQH0246
【sd Quattro H, 135mm F1.8 DG HSM | Art 017, @135.0 mm F1.8, 1/800sec, ISO100】

_DQH0247
【sd Quattro H, 135mm F1.8 DG HSM | Art 017, @135.0 mm F1.8, 1/500sec, ISO100】

 135/1.8の被写界深度が楽しい。
 また、最大撮影倍率も1:5なのでそれなりに寄れる。最短付近ではピントは紙のように薄い。


 それほどの被写界深度の薄さゆえか、Art単焦点の中では唯一フォーカスリミッターがついている。
 sdQHはレンズによってAFスピードが大きく変わるが、この135mmはかなり速い方だった。
 解像力もさすがArt単焦点、開放からかっちりと写ってくれる。絞りは被写界深度の調節だけに使うと考えて問題ないレベルだ。

 SIGMAの純正現像ソフト、SIGMA Photo Pro(以下SPP)。

SIGMA Photo Pro | カメラ製品 | ダウンロード | SIGMA GLOBAL VISION

 従来、FoveonのRAWはほぼこのソフトでしか編集できないと言って過言でなかった。古いFoveonは一部Adobe Camera RAWが対応していたものもあったが、SD1以降ではほぼSPPでしか現像できない。

 現在はsd Quattro Hに追加されたDNG出力によって他社現像ソフトも利用できるようになった。APS-Cのsd Quattro無印も今後のファームアップでDNG出力に対応する予定だ。
 しかし、従来のX3Fに比べてDNG出力には以下のデメリットが存在する。
・X3Fの14bitに比べ、12bitで記録するため階調が落ちる。
・3層構造の情報がない。
・無圧縮のためX3Fよりもファイルサイズが大きい。
・カラーモードで設定できる項目が少ない。
・jpg同時記録ができない。
 DNGはRAWと言っているが、中身はおそらく無圧縮12bitのTIFFであろう。そのため、特にモノクロを使う人には重要だが、3層構造の情報がなくなる。
 Foveonによるモノクロは全画素で輝度情報を得ているだけではなく、RGB各色の比率を変えることでレギュラー・オルソ・パンクロそれぞれをシミュレートするような使い方もできる。また、高感度に弱いFoveonでもB層100%としレギュラーフィルム的に使うならばISO6400でノイズレスな写真を得ることができる。
 他にもX3FならばSPPの機能である「X3 Fill Light」が使用できる。この機能は非常に面白く、私がFoveonを使う理由の何割かはFill Lightを使いたいがためである。
 それでもどうしてもDNGを使いたいのであれば、SPPでTIFF出力すればいい。おそらくDNGと中身は変わらない。
 せっかくFoveonを使うのであれば、DNGではなくX3Fで撮ったほうがカメラの機能をフルに活かせることは間違いない。

 SPPについて世間の評価を見ると遅い・機能が少ないといった点が指摘されており、中にはSIGMAのカメラを使う上でこの現像ソフトを使わなければいけないことが最大の苦痛だと評するレビューも存在する。
 しかしその評価のうち速さに関しては、現行のSPP6.5ではだいぶ改善されている。
 6.5からはGPUが使用でき、またMac版では64bitに対応した。
 このうちGPU支援は私の環境では使用できなかったが、64bit化では明らかに速度の向上を体感できた。
 また、6.5.0のリリース日から推測するにGPU周りの機能はこれから改良があると予想している。

 以上から、これから購入を考えている人にはぜひDNGではなくX3FでFoveonを楽しんでほしいと思っている。
 そこで、SPPの使い勝手が気になる人のためにFoveonのRAWファイルを用意した。
 SPP自体は誰でも無料でダウンロードできるので、Foveonの現像を体験してみてほしい。

SD1 MerrillのRAW(6枚 310MB zip圧縮)
sd QuattroのRAW(4枚 213MB zip圧縮)
sd Quattro HのRAW(7枚 368MB zip圧縮)
sd Quattro HのSFD(1枚 517MB X3Iファイル)

 このRAWは出典を示して貰えれば現像結果を公開しても構わない。

 詳細な使い方に関してはヘルプを見れば全て載っている。
 一つだけ、ぜひ体験して欲しい機能が上にも挙げたX3 Fill Lightだ。
 以下にサンプルを載せる。

オールリセット

Fill Light+1.0, 露出-0.4, コントラスト+0.3

Fill Light-1.0, 露出+0.4, コントラスト±0

オールリセット

Fill Light +1.0, 露出-1.0, コントラスト±0

Fill Light -1.0, 露出+1.0, コントラスト±0

 最初の写真ではフレアの影響で暗所の色がFill Lightプラスでは転んでいるが、概ね傾向は見えるのではないだろうか。
 Fill Lightをプラスに振るとHDRっぽくなり、マイナスに振ると光が当たっている部分のみ強調されアウトフォーカス部の描写が滑らかになる。
 1枚目はマイナス側に振ったほうが映える写真だが、2枚目のようなパンフォーカスの風景では好みもあるがプラス側に振るほうが見栄えがよくなる。
 これはぜひ自分でパラメータをいじって体験してみてほしい。

 こうした現像ソフトの機能に関してはあまり語られることがないため、ユーザー以外はどんなパラメータがあるのか知る術が殆ど無い。SIGMAはせっかく誰でもダウンロードできる現像ソフトを公開しているのだから、RAWのサンプルも配布すればいいのに。

 sd Quattroの上位互換。
 それだけで説明が終わってしまう。
 35mm判に対するAPS-Cが「写るテレコン」なら、こちらはさしずめ「写るワイコン」。
 無印より劣るところはバッファ。12枚だったのが8枚になる。そしてそれはDCクロップ時も変わらない。
 とは言え、SD1のバッファに慣れている身には大した問題ではない。
 連射速度はHのほうが多少速いが、どちらも大差なく遅いので安心してほしい。
 今sd Quattroを購入したいと思うならば、Hを買っておいたほうがいいだろう。画素ピッチは無印もHも同じなので、DCクロップで得られる画素数は無印と全く一緒である。

 以下作例。

_DQH0076
【sd Quattro H, 85mm F1.4 DG HSM | Art 016, @85.0 mm F8.0, 1/4000sec, ISO100】

_DQH0080
【sd Quattro H, 85mm F1.4 DG HSM | Art 016, @85.0 mm F4.0, 1/2500sec, ISO100】

_DQH0101
【sd Quattro H, 35mm F1.4 DG HSM | Art 012, @35.0 mm F2.8, 1/4000sec, ISO100】

_DQH0115
【sd Quattro H, 85mm F1.4 DG HSM | Art 016, @85.0 mm F4.0, 1/1000sec, ISO100】

_DQH0123
【sd Quattro H, 35mm F1.4 DG HSM | Art 012, @35.0 mm F4.0, 1/1600sec, ISO100】

_DQH0129
【sd Quattro H, 85mm F1.4 DG HSM | Art 016, @85.0 mm F2.8, 1/3200sec, ISO100】

_DQH0139
【SFD】

_DQH0153
【SFD】

_DQH0156
【SFD】

 最初の方は設定を間違えてRAWのLOWで撮っていた。
 後ろの方はSFD。SPP6.5になって動体補正が付き、多少のブレなら目立たなくなった。

 正直なところ、センサーが大きくなっただけで基本的にはsdQと同じカメラなので特に書くこともない。
 DNG出力やテザー撮影でのLVなど新機能もあるが、遠からず無印でもファームウェアで対応する。
 35mm判換算倍率は公式には1.3倍と謳われているが、正確には1.35倍と言ったほうが正しい。しかしEXIFには1.33倍の数字が書き込まれていた。どこから1.33が出てきたのだろう。

 DCレンズのAPS-H対応状況だが、とりあえず手持ちのDCレンズのうちすぐ試せる18-35と50-100で試した。

18-35mm @18mm フードあり

18-35mm @18mm フードなし

18-35mm @35mm フードあり

50-100mm @50mm フードあり

50-100mm @100mm フードあり

 なお、全て開放だ。18-35のテレ端のみまずまず使えそうだが、ワイ端はケラれている。50-100は周辺減光に隠れているが隅は絞ってもケラれる。
 素直にDCクロップで使ったほうがいいだろう。

 正直に言うと前日に公開されたSIGMA Photo Pro 6.5のMac版64bit対応とGPU支援のほうがわくわくして楽しみだった。
 64bit化の恩恵は素晴らしく、今回の現像もサクサクこなすことができた。
 しかし私のMacbook ProではGPUはエラーを吐いたため、GPU支援の効果はわからない。
 SIGMAさん、無印のファームウェアよりSPPのアップデートのほうを先にしてくれないかなぁ。私もGPUの恩恵を受けたい。

 ちなみに、このカメラに興味を持つ殆どの人には言われるまでもないことだろうが、このカメラは万人に勧められるものではない。
 感度は上げられないし、AFは(今のファームウェアでは)非常に遅いし、EVFの品質も褒められたものではない。過去記事でsdQの性能に感動したところを挙げているが、他社カメラを使っている人にとっては「え、いまどきそんな程度のことに感動するの?」と思うだろう。
 今まではSIGMAのカメラに手を出そうという人はその程度のことは全て承知の限られた人が殆どだった。しかし値段の低さと(SIGMAのカメラとしては)大幅に向上した使い勝手のおかげでユーザーは増えているようだ。
 喜ばしいことではある。しかし、数多あるデメリットをちゃんとわかった上で買うのだろうか? AFの遅さに耐えられるか? SGV以前の、特にマクロレンズでまともにAFできないことをわかっているか? 軽くないボディとレンズを持ち運べるか? 暗所の手持ち撮影を諦められるか? 三脚を持ち運ぶ覚悟があるか? それらをひっくり返してでもFoveonの写りがほしいか?
 そのあたりを認識せず買うのは不幸しか呼ばない。
 メイン機材として購入を検討しているならばこのあたりは十分承知した上で買うべきだ。サブで買うならば非常におもしろい選択だと思う。