センサーサイズが大きいカメラはボケが大きくなりやすい。これは事実だ。 だがしかし、現在中判デジタルとして主流である44×33mmのセンサーを持つカメラでは少々事情が異なる。 現在、現行の中判デジタル用マウントはPENTAX 645マウント、FUJIFILM Gマウント、Leica Sマウント、HASSELBLAD Xマウント・Hマウントあたりだ。このうち、ハッセルHマウント以外はすべて44×33mmのセンサーを持つボディしかない。 さて、センサーサイズの違いがボケ量にどのような変化を及ぼすかについては過去記事でまとめている。 フォーマットサイズによるボケ量の変化 ...
ひょんなことから安く中古が手に入った。セコニックの分光色彩照度計、C-7000。 これは光源のスペクトル、演色評価、CIE1931、CIE1976を計測できる。このうちCIE1931とCIE1976は私はよく分かっていない。ディスプレイの色域関係の話で見たような気もする。 とりあえず手近な光源のスペクトルを調べてみることにした。 まずは太陽。窓ガラス越しに計測。 窓ガラス越しであることが影響してか380nm付近の紫外線の波長は多少落ち込んでいるが、さすがの演色性だ。 次に私が使っている日立のシーリングライト。「まなびのあかり」というモードを搭載しており、Ra92を謳っている。 公称のRa92を超えRa93.1という計測結果になった。スペクトルの全体像を見るとまさにLEDといった形で、450nmの波長に大きなピークがある。演色評価のグラフを見るとR9が63.5と落ち込んでいるが、人工光源でこの数字ならば優秀な方だ。 同じシーリングライトで「全灯」では以下の結果となった。 日立のまなびのあかりを搭載したシーリングライトにおいて「全灯」とは2種類の白色LED全てを点灯するという意味であり、「まなびのあかり」ではそれに加え赤と青のLEDを追加で点灯させている。そのため「全灯」という名称だが全てのLEDが点灯しているわけではない。 「まなびのあかり」と比較すると480nm付近と640nm付近の波長が落ちており、演色性も86.7と特に良いわけではない(ちなみに公称はRa85)。 次に電球色LED。 LEDによく見られる450nm近辺のピークは非常に少ない。ピークは608nmで長波長側のスペクトルが豊富かつ色温度も2500Kと低いが、R9は9.8と非常に低い。Raも82.8と芳しくなく、正確な色を得るための光源には不向きだ。 では同じくらいの色温度だが演色性は高いと言われる白熱電球のスペクトルを見てみる。 圧巻のRa99.1だ。今回の計測では太陽を超えてしまった。R9も96.4と非常に高い。 個人的にはこのスペクトルで青系統のR4〜8とR12が高い(R12は文字が潰れて見えないが98.6ある)のが不思議に感じてしまうが、それは色温度2700Kという低さに現れている。演色性は高いものの色温度の低さから扱いにくい光源だ。 次は昼光色LEDだ。 THE・LEDのスペクトルといった風情だ。450nmに大きなピークがあり、Raは86.5とそこまで高くない。 次は蛍光灯のスペクトルを見てみよう。 こちらも典型的な三波長蛍光灯のスペクトルだ。こうして見ると演色性の観点から言えば蛍光灯はなかなかひどい。Raも78.9といままで登場したLED全てに負けている。高演色性を謳う製品ではLEDよりも蛍光灯のほうが演色性が高いことが多いため、通常の蛍光灯でもLEDより優秀な印象を勝手に持っていたが、その認識は改める必要がありそうだ。 唯一LEDに勝っているかもしれない点は、ピーク波長が544nmという緑色の領域のため同じ光度ならば蛍光灯のほうが明るく感じられることがあるかもしれないというところだろうか。とはいえ実際は同じ大きさであればLEDのほうが光度は高いだろうし、消費電力も小さい。 R9も9.0と低く、例えばトマトサラダやレアステーキなどはLED光源よりくすんで見えるかもしれない。食卓の光源にも向いているとは言い難い。ダイエットがしたいなら優れているかもしれないが。 ちなみにLEDには450nmに大きなピークがあり、一昔前からこれを指して「ブルーライトが多く目に悪い」とする風潮があるが、かなり眉唾だ。 ブルーライトの有害性を謳うWebページの中には「強いエネルギーを持っており、角膜や水晶体で吸収されずに網膜まで到達します」などと書いてある。バカか。網膜で光を受けずにどうやって物を見るのだ。全ての可視光は網膜まで到達しているに決まっている。ついでに言えば赤い光よりも波長が短いブルーライトのほうが角膜や水晶体で吸収される割合は高いだろう。こんなおつむがパーなことを平気で書いている時点で主張の信憑性に大きな疑義が出る。 だいたい、一番最初に載せた太陽のスペクトルを見て欲しい。ガラス越しでもLEDなんかよりもよっぽどブルーライトや紫外線にあふれている。ブルーライトが有害ならば太陽のほうがよっぽど有害である。 ただし、人類の歴史の中の大部分で太陽以外の光源は火くらいしかなかった。目へのダメージという観点では一笑に付すが、従来は太陽にしか含まれていなかったブルーライトを受けることによって体内時計が狂い睡眠に支障が出る可能性までは否定する気はない。 しかし諸々のメリットを考えればもはや三波長蛍光灯を使うメリットはあまりないのではないだろうか。 このC-7000はストロボ光の測定もできる。そのため手持ちのEF-610 ...
私のメインのカメラバッグはPeak DesignのEveryday Messengerだ。これはカメラバッグとしてのみならず普段遣いのバッグとしても利用している。 しかしKickstarterで購入したもののため、すでに4年弱使用している。まだまだ使えはするものの擦り切れそうな部分も出てきた。そのため、今年のKickstarterで買い換えることにした。 新しいものが届き古いものと見比べたところ、仕様が変わっている箇所が想像以上に多かったため変更箇所をまとめる。 まずは公式にもアナウンスされていた背面について。新しいものはキャリーバッグの取っ手に通すことができるループが追加されている。事前に知っていたのはこの仕様変更だけだ。 また、写真でもわかるが旧バージョンは背面のみ材質が異なっていた。前面・側面はやや撥水効果がある布だったが、新バージョンでは背面も同じ材質が使われている。 次に細かいデザイン面。底部は防水・耐摩耗の素材が貼り付けられているが、新しいものは背面の固定具がなくなった。 全面フラップの「peak ...
近年、カメラにおいて一眼レフという形式は下火だが、未だに一眼レフでしか得られない光学ファインダーには一定の人気がある。 その光学ファインダーだが、性能を決める要素には大きく分けて光学系の設計とフォーカシングスクリーンの拡散性能の2種類がある。今回はこのうちスクリーンの拡散性能とは何かについて解説する。 まず、一眼レフの光学ファインダーをシンプルに表現すると交換式レンズが対物レンズ、ファインダー光学系が接眼レンズのケプラー式望遠鏡であると言える。本来ケプラー式望遠鏡で見える像は倒立像であるが、ミラーとプリズムでの反射によって正立像となる。望遠鏡と違うのは焦点位置にフォーカシングスクリーンが設置されている点だ。 これをミラー・プリズム等の要素を省いて簡略化して表現したものが下図である。 さて、フォーカシングスクリーンの役割は光を拡散させることであるが、そもそもなぜ光を拡散させる必要があるのか。仮に拡散性がゼロの素通しスクリーンで考えてみよう。 人間の目の瞳孔径は最大で約7mmと言われている(このせいで人間の目のF値がF1.0であると言われているのは嘘であるとわかるのだが、この話はまたの機会に)。 この状態では上図の赤の範囲を通る光しか瞳孔に到達せず、撮影レンズの周辺部を通る光は目で確認できない。 具体的にはファインダー倍率A倍(50mm時)、瞳孔径7mmで見えるF値は50÷7Aとなる。 ※参考 接眼光学系側の赤線の直径は瞳孔径=7mm。撮影レンズ側の赤線の直径をd、撮影レンズ側の焦点距離をf1、接眼レンズ側の焦点距離をf2とするとd÷f1 ...
被写界深度の計算に出てくる要素、許容錯乱円径。 このパラメータは一般的に35mm判で0.03mm、あるいは1/30mmとされることが多い。私はデジタル時代になった今も基本的にはこの数字のままで問題ないと思っている。 しかし、この数値の妥当性に疑問があるのか独自の定義をしたがる人がいる。その中でも「許容錯乱円径 = その機材で再現できる限界の解像度」という考え方をたまに見る。 曰く、「許容錯乱円径は撮像素子の「画素ピッチ」または「エアリーディスク径」の大きい方で決まる」、「プリンタの出力解像度から逆算して決まる」といった具合だ。 これは明確に間違いである。 ボディの画素ピッチが許容錯乱円径となると考えよう。 まず、画素ピッチが違うカメラとしてα7SII、α7RIIIのセンサーサイズ、画素数を記載する。 α7SII:35.6×23.8mm、1240万画素 α7RIII:35.9×24.0mm、4360万画素 これらの画素ピッチは計算すると以下になる。 α7SII:sqrt(35.6*23.8/12400000) ...
世はミラーレス全盛期。大手二社を含めた各社がフルサイズミラーレスをラインナップし、SIGMAも来年にフルサイズミラーレスを出す。もはやミラーレスをラインナップしていないのはPENTAXくらいになった(現行品では。Qってまだ生きてたっけ?)。 さて、ミラーレスは構造上常にセンサーで光を受けている。そのため、太陽を写したままの状態ではセンサーを焼いてしまう危険がある。実際にセンサーを焼いた例は検索すれば出てくるだろう。なぜか富士フイルム機とオールドレンズの組み合わせが多いようだ。 ではセンサーを焼かないためにはどのようなことに気をつければよいだろうか。これに関しては誤った情報が堂々と流布されており、真に受けてしまうと高価なカメラを壊す危険性がある。ここで正しい情報とその理屈を解説する。 結論から書くと、注意する点は ・実絞りならばできるだけ絞る ・ピント位置は近接状態とする の2点だ。 ・太陽に向けたままにしない ・使用しないときはレンズキャップを付ける は言うまでもない。 これはレンジファインダー時代は常識であったようだ。 ではなぜこんな記事を書いているか。それはセンサー焼けを調べると「絞りは絞られている状態のほうが焼けやすい」などという大嘘が出てくるからだ。 このような思考に至る理由は理解できる。「絞ると像がシャープになる ...