ようやく出てくれた、Artの85mm。当然予約購入。


 外観はピントリングの幅が広い。そして距離指標に無限遠の線がない。
 無限遠の線はArt 20mmあたりの頃から完全に廃止されてしまったようだ。個人的には残念。


 解像力チェックだが、多分開放のAPS-C隅でも点光源は点像にしか写らないと思うのでやってすらいない。根拠はMTF曲線とLensTipのレビュー。
 LensTipでは解像力のピークがなんと、F2.8になっている(35mm判隅のみF4)。このピークのF値は開放に近いほど収差が少ないことを意味している。
 一般的な写真レンズでF2.8がピークになるというのは驚きの性能だ。

 また、この85mmと12-24mmからArtレンズに簡易防塵防滴が加わった。これはマウント部にゴムのシーリングが加わっただけで、ピントリングなどにはシーリングはない。


 しかしこのシーリング、赤丸で囲った部分で切れているのがわかるだろうか。全周の1/4弱にシーリングがない。
 果たして実際の防防性能はどうなのだろうか? あまり期待出来なさそうに思える。

 2017/1/26追記
 SAマウントにはシーリングはないとのこと。上に挙げたものはシーリングではない。

 購入後、USB DOCKでフルタイムMFの設定を変更し早速試写してきた。
 では作例。

_SDI1805
【SIGMA SD1 Merrill, Art 85mm F1.4, @85.0 mm F1.4, 1/60sec, ISO100, 0EV】

_SDI1814
【SIGMA SD1 Merrill, Art 85mm F1.4, @85.0 mm F1.4, 1/80sec, ISO100, 0EV】

_SDI1816
【SIGMA SD1 Merrill, Art 85mm F1.4, @85.0 mm F1.4, 1/30sec, ISO100, 0EV】

_SDI1869
【SIGMA SD1 Merrill, Art 85mm F1.4, @85.0 mm F2.8, 1/500sec, ISO100, 0EV】

SDQ_0115
【sd Quattro, Art 85mm F1.4, @85.0 mm F4.0, 1/2500sec, ISO100】

SDQ_0136
【sd Quattro, Art 85mm F1.4, @85.0 mm F5.6, 1/400sec, ISO100】

SDQ_0141
【sd Quattro, Art 85mm F1.4, @85.0 mm F2.8, 1/320sec, ISO100】

SDQ_0152
【sd Quattro, Art 85mm F1.4, @85.0 mm F2.0, 1/400sec, ISO100】

SDQ_0140
【sd Quattro, Art 85mm F1.4, @85.0 mm F2.8, 1/250sec, ISO100】

SDQ_0165
【sd Quattro, Art 85mm F1.4, @85.0 mm F2.0, 1/500sec, ISO100】

 開放では軸上色収差が見て取れるが、F2まで絞れば問題ない。
 解像力は開放から素晴らしい。絞りは被写界深度のコントロールだけに使うものとして考えて問題ない。
 ボケは撮影距離にもよるが、前ボケのほうがやや柔らかいかもしれない。とはいえ後ボケにも目立った二線ボケは認められない。
 逆光耐性は微妙。太陽がフレーム内に入るような過酷なシチュエーションでは画面全体に緑色のフレアが出た。しかしこの緑はFoveon特有の問題なのかもしれない。下はド逆光の参考。


 重さ大きさは、たしかに大きいのだろうが50-100/1.8に慣れた身としては特に重いとは感じなかった。

 全体的には弱点が少ないレンズだが、惜しむらくは私が85mm = 換算127.5mmという焦点距離に慣れておらず使いにくかったことだ。レンズの問題とは全く関係ない話だが。

 SIGMAにはSGV以降のレンズを他社マウントへ交換するサービスを行っている。
 今回、120-300mmのFマウントを購入し、SAマウントへ交換した。

 交換の手順は
・SIGMAにレンズと交換先マウントを明記したメモを送る。
・SIGMAから確認の電話を受ける。
・約2週間後、レンズ発送の連絡を受ける。
・受け取り時、交換費用を代引きで支払う。
 となる。

 SIGMAのページにはメモと一緒にレンズを送れ、としか書いていないためいきなり送りつけていいものか迷ったが、どうやらいきなりで大丈夫なようだ。
 メモには交換先のマウントを書くとしかないが、返送先住所や連絡先くらいは書いておくべきだろう。

 レンズを送った後、交換先マウントと料金についての確認の電話がかかってくる。この電話を受けてから作業に入るので、知らない番号だからと放置していたらいつまでたってもレンズが帰ってこないことになるだろう。
 料金に関してはSIGMAのページに一覧表がある。

マウント交換サービス対象機種のご案内|株式会社シグマ
https://www.sigma-photo.co.jp/support/mcs/list.html

 また、保証期間内であれば保証書と同時に送ることで送料着払いでもいいとのこと。
 私は中古に保証書がなかったため元払いで送った。また、返送時の送料は保証期間に関わらずSIGMAが負担してくれる。

 レンズ発送前にまたSIGMAから発送連絡の電話がかかってくる。この時も再度料金についての確認を行った。

 あとは到着時に代引きで交換費用を支払えば終わりだ。サンニッパズームの場合は25,714円だった。

 このマウント交換サービス、実はどこにも書いていないがちょっとしたオマケがある。
 返送時にレンズ以外に同梱されているものには6ヶ月保証書の入った封筒と交換前に装着していたレンズリアキャップがあるのだが、それ以外にクリーニングクロスが付属する。


 このクリーニングクロスは非売品のため、マニアには嬉しい。
 他に修理に送った場合などももらえるようだ。SGV以前は臙脂色のクロスだったようなので、それも欲しかったが今では手にはいらないだろう。

 いわゆるサンニッパズーム。
 ズームと呼ばれてはいるがバリフォーカルだ。250mm〜300mm間あたりでピント位置がかなり変化する。

 このレンズはtwitterで中古売買したものをマウント交換したものだ。本当は新品購入するつもりだったが、マウント交換の費用を含めても相場より安く手に入ったため中古で購入となった。

 まずは新レンズ恒例の解像力テスト撮影を行った。
 今回からsd Quattroのライブビュー拡大MFが使用できたため、非常にやりやすかった。隅部分の拡大もAFポイントを9点選択から自由移動にして目一杯端を選択すれば問題なく拡大できた。
 テスト対象は星を撮ったのだが、結果として開放で中央でも隅でも2xテレコンを噛ませても何の問題もない点像にしか写らなかったため割愛する。
 撮影中に気付いたが距離目盛の無限遠ではオーバーインフだった。これは個体差もあるかもしれない。

 では作例。

_SDI1661
【SIGMA SD1 Merrill, Sports 120-300mm F2.8, @300.0 mm F5.6, 1/500sec, ISO100, 0EV】

_SDI1665
【SIGMA SD1 Merrill, Sports 120-300mm F2.8, @300.0 mm F5.6, 1/800sec, ISO100, 0EV】

_SDI1689
【SIGMA SD1 Merrill, Sports 120-300mm F2.8, @300.0 mm F5.6, 1/500sec, ISO100, 0EV】

_SDI1692
【SIGMA SD1 Merrill, Sports 120-300mm F2.8, @120.0 mm F2.8, 1/250sec, ISO100, 0EV】

_SDI1700
【SIGMA SD1 Merrill, Sports 120-300mm F2.8, @300.0 mm F4.0, 1/800sec, ISO100, 0EV】

_SDI1717
【SIGMA SD1 Merrill, Sports 120-300mm F2.8, @145.0 mm F2.8, 1/800sec, ISO100, 0EV】

_SDI1719
【SIGMA SD1 Merrill, Sports 120-300mm F2.8, @300.0 mm F2.8, 1/1600sec, ISO100, 0EV】

_SDI1726
【SIGMA SD1 Merrill, Sports 120-300mm F2.8, @120.0 mm F2.8, 1/640sec, ISO100, 0EV】

_SDI1728
【SIGMA SD1 Merrill, Sports 120-300mm F2.8, @300.0 mm F2.8, 1/3200sec, ISO100, 0EV】

_SDI1760
【SIGMA SD1 Merrill, Sports 120-300mm F2.8, @171.0 mm F2.8, 1/1600sec, ISO100, 0EV】

_SDI1776
【SIGMA SD1 Merrill, Sports 120-300mm F2.8, @120.0 mm F4.5, 1/6000sec, ISO100, -1.7EV】

 撮影に出かけたときはテレコンを忘れていったのでテレコン使用の作例はない。

 撮影して気づいたが、このレンズの逆光耐性は低い。以下の2枚を見てもらえればわかるだろう。

【SIGMA SD1 Merrill, Sports 120-300mm F2.8, @120.0 mm F5.6, 1/250sec, ISO100, 0EV】

【sd Quattro, Sports 120-300mm F2.8, @300.0 mm F2.8, 0.3sec, ISO100】

 ゴースト・フレアが盛り沢山だ。
 ただ、2枚目のゴーストはズーム域によっては目立たなくなっていた。ここまではっきりと出るのは広角端・望遠端だけで、中間域ではマシになる。マシというのも出なくなるわけではなく、面積が広がって薄くなるといった形だ。

 私の持つ中では最も重い3kg超えのレンズであり、過去にCP+などで触ったところでは手持ちは厳しいかもしれないと思っていたが、実際に使ってみれば十分手持ち可能だった。
 翌日筋肉痛にはなったが。

 これでテレコン使用を考慮すればSAマウントで換算12mmから換算900mmまでをカバーできるようになった。

 BlackRapidをはじめとする速写ストラップ、私はあまり好きではないのだが手元に2本揃ったのでレビューを書いてみる。
 手元にあるものは
・CarrySpeed FS-PRO
・FotoSpeed F1 Black Kingkong
 の2本だ。BlackRapidは持っていない。

・BlackRapid
 まずは速写ストラップの草分け的存在、BlackRapid。
 所有していないが、モノは見たことがある。そして見た時点でこれだけは買うことはないと結論づけた。
 その最大の理由はカメラとの接続部であるファステンの構造だ。
 単に三脚穴にねじ込んだ金具にカラビナを取り付けるだけの構造であり、この点にはなんの工夫も見られない。
 最大の問題は落下のリスクが高いと思われることだ。ファステンに回転の力が加わると容易に緩んでしまう。一応カラビナ部分が回転して力を逃がす構造にはなっているが、カラビナは丸くないため何かに引っかかる可能性がある。引っかかったまま力が加わればファステンが緩むしかない。
 実際に「BlaskRapid 落下」でググれば事例は沢山出てくる。もちろん速写ストラップの中で最もシェアが高いであろうBlackRapidは他に比べ母数が違うが、それを考慮しても落下事例が多いBlackRapidに高価なカメラ・レンズを任せたいだろうか?
 他にも購入しない理由は何点かある。
 まず三脚穴を専有する故に三脚との併用ができない点。これはCutomSLRのM-PLATE PROなどを併用すれば解決する問題ではある。
 更にストラップ部分にも何ら工夫がない点。これは好みにもよるだろう。
 しかしBlackRapidが登場してから今まで、ファステンの構造もストラップもろくな工夫も施していない。他社製品を訴訟で潰す前にやることがあるのではないだろうか。

・CarrySpeed
 BlackRapidが訴訟して潰したという製品がこのCarrySpeed。
 数多あるBlackRapidコピーを無視しCarrySpeedを潰しに来ただけあって、BlackRapidに劣った点は見当たらない。強いて言えば値段だろうか。
 訴訟により販売できなくなったと聞いたが、2016年9月現在、Amazonで購入できてしまう。


 カメラとの接続はアルカスイス互換のクイックシュープレートに付いたピンにて行う。
 ピンを接続部に入れ、ネジを締めればOK。プレートをきちんと締め込んでいれば脱落の危険はゼロだろう。脱着の手間はBlackRapidと変わらない。


 もちろん、アルカ互換の三脚ならばそのまま三脚に取り付けられる。
 このピンの配置が優れており、自然とレンズが後ろ側に、グリップも右手でつかみやすい状態に収まってくれる。


 更に、ストラップ部分にも工夫がある。ストラップ前面のベロを引き下げることで簡単にストラップを縮めることができる。そのうえ、カメラを持ち上げれば自動的にストラップが伸びてくれるために、ストラップが短くて邪魔になるということがない。非常によく考えられている。
 ただし伸縮幅はJETGLIDEなどに比べるとかなり狭く、体に密着するまで縮めるといったことはできない。
 また、オマケとしてこのピンがSpider Holsterのものとほぼ一緒なのだ。両方使用する人ならばプレートの付替なく切り替えられる。

・FotoSpeed
 今年のCP+で知った製品。


 カメラとの接続はアルカ互換のコネクタとホースのカプラのようなものを介して行う。
 接続部を下の写真のように引っ張ると取付・取外が可能になる。



 このカプラにはロック機構があり、ネジを締めることで脱着不可能な状態にできる。


 また、このカプラ部分が自由に回転するため三脚穴のネジが緩む危険性はBlackRapidよりも低い。脱着の手間はこれら三種のなかで一番楽だ。


 コネクタ部分は見た目からは想像できないがアルカスイス互換となっており、そのまま三脚に取付可能だ。しかしカメラとの接続は分厚いゴム板を介しており、緩み防止には一役買っているが三脚での安定性はとても低い。あくまでオマケ、もしくは緊急用とでも考えたほうがいい。本格的に三脚でも使用したい場合、こちらもCustomSLRのM-PLATE PROを使用したほうがいい。
 ストラップ部分はCarrySpeedよりも更に進化している。


 CarrySpeedは手動で縮め、自動で伸びる、という構造だったが、FotoSpeedはカメラの上げ下ろしに対して伸縮が全て自動で行われる。


 また、FotoSpeedだけの特徴としてカメラ接続金具部分がストラップ上を勝手に移動しないよう、ロックがかけられる。
 自動伸縮とロックのお陰でしゃがむ、かがむといった行動でカメラを地面に叩きつける可能性が低い。
 ただし、この自動伸縮の代償としてカメラの上げ下ろしがほんの僅かだけ他よりスムーズでない。とはいえ、とくに気にするレベルではなかった。


 また、脱落防止用として短いストラップが付属している。これはカメラのストラップホールに取り付けることで万が一の脱落を防ぐものだ。たしかCarrySpeedにも付いているモデルがあったはずだ。


 他にハンドストラップも付属していたが、これは特に目立ったところはない。他の製品と比較して珍しいのは三脚穴に取り付ける構造となっていることくらいだろう。

 三種類のストラップを紹介したが、この中で選ぶならば、三脚を併用するならCarrySpeed、自動伸縮が欲しいならFotoSpeedだろう。
 BlackRapidは他のストラップが進化した今、わざわざ選ぶ理由は何も見つからない。

 関連記事
 伸縮系速写ストラップの比較
 ハンドストラップに求めるもの
 以前の記事でフォーマットサイズによってボケ量がどう変化するか計算した。

フォーマットサイズによるボケ量の変化 | 五海里
http://illlor2lli.blogspot.jp/2016/08/blog-post.html

 今回はフォーマットサイズが同一でも、レンズの焦点距離が伸びたときに同一倍率で写したときのボケ量の変化について計算する。
 一般的にボケが大きくなる条件としては、レンズの焦点距離は長いほうが、被写体との距離は近いほうがボケは大きくなると知られている。しかし、目的の被写体を異なる焦点距離で写した場合、焦点距離が長いレンズ(ボケが大きい)では被写体との距離は遠く(ボケが小さい)ならなければ同一倍率では写せない。
 その場合、焦点距離の長さと被写体との距離の関係のどちらが大きく影響するのか、計算にて求める。

 使用する式は以前と同じ。
δ = d*f^2/(R*F*(R+d))
δ : 像面上のボケの大きさ(後ボケの場合)[mm]
R : 被写体までの距離[mm]
f : レンズ焦点距離[mm]
d : ピント位置からボケ光源までの距離[mm]

 まずは基準として前回と同じ、50mm F1.4 ピント位置1m ボケ光源1mの場合のボケを用いる。計算は前回と全く一緒だ。
δ = 1000*50^2/(1000*1.4*(1000+1000))
δ = 0.893 [mm]

 次に焦点距離100mmで撮影する場合を考える。
 同一倍率で撮影する場合、焦点距離が50mmの2倍なので撮影距離も2倍となる。
 そのため、条件としては100mm F1.4 ピント位置2m ボケ光源1mだ。
δ = d*(f*m)^2/(R*m*F*(R*m+d))
m : 焦点距離/50mm = 2
δ = 1000*100^2/(2000*1.4*(2000+1000))
δ = 1.19 [mm]
 となり、ボケは焦点距離が伸びることのほうが大きく効くようだ。今までの経験・体感とも合う。

 簡単な2パターンを比較しただけだが、δをmで偏微分してグラフにすれば変化もよく分かりそうだ。面倒なのでやらないが。

 過去にSD1のCF速度による書き込み時間の変化について調べた。

SD1におけるCFの速度が与える影響 | 五海里
http://illlor2lli.blogspot.jp/2016/03/sd1cf.html

 この記事ではTranscend 400xとSanDisk Extreme Proで6秒程度しか変わらず、ほぼ効果が無かった。

 では、SD1の後継機のsd Quattroではどうなのか、調べてみた。

 使用するSDカードは手元にあった以下の5種類。
・SanDisk Extreme Pro 256GB UHS-I Class3
・Panasonic 32GB UHS-I Class3
・SanDisk Mobile Ultra 8GB UHS-I(microSD)
・東芝 16GB UHS-I(microSD)
・台湾製ノーブランド 4GB Class4(microSD)
 microSDはSanDiskのアダプタを利用した。

 計測条件は
・連写モード
・Mモード、絞り開放、SS1/4000
・バッファフルの12枚まで連写
・連写開始〜書き込みランプ消灯までの時間を計測
 とした。

 結果は以下のとおり。


使用メディア書き込み時間
SanDisk Extreme Pro 256GB UHS-I Class341秒
Panasonic 32GB UHS-I Class353秒
SanDisk Mobile Ultra 8GB UHS-I(microSD)1分25秒
東芝 16GB UHS-I(microSD)49秒
台湾製ノーブランド 4GB Class4(microSD)1分38秒

 この中では最大で60%近くの改善が見られた。また、SD1では最速でも7枚で1分21秒かかっていたことに比べれば、非常に書き込み速度は速くなっている。実際に使用していてバッファ詰まりで困ったことはまだない。
 また、この時間は書き込みランプ消灯までを測ったものだが、バッファ自体はこの時間よりもずっと速く開放される。その様子は下の動画を見てほしい。



 大体だが、Extreme Proを使用した場合は
連射開始〜12枚撮影:2秒
12枚撮影〜バッファ回復:9秒
バッファ回復〜書き込み終了:30秒
 という内訳となっている。

 SD1でのCFごとの速度の違いに比べれば、SDカードによる書き込み速度への影響は大きい。sdQでは可能な限り高速なSDカードを使用したいところだ。
 しかし遅いSDカードを使用していても、SD1に比べればバッファの開放速度が段違いに速い。いままでSD1の書き込み速度に慣れていた身としてはとても快適な速度となった。

 フルサイズはボケが大きい、とは経験的によく知られた話であるが、それを定量的に解説した記事はめったに見ない。
 なので実際に計算を用いてどの程度変化するのか調べてみる。

 使用する計算式は過去に被写界深度に関する記事で紹介したWebページに載っている被写界深度計算の式を用いる。

被写界深度の計算、許容錯乱円径をどのように設定するか? | 五海里
http://illlor2lli.blogspot.jp/2015/11/blog-post_25.html

 ここで紹介したページには下記の式が載っている。

後方被写界深度 = (R^2*δ*F)/(f^2-R*δ*F)
R : 被写体までの距離[mm]
δ : 許容錯乱円直径[mm]
f : レンズ焦点距離[mm]

 この式は以下のように読み替えることができる。

δ = d*f^2/(R*F*(R+d))
δ : 像面上のボケの大きさ(後ボケの場合)[mm]
R : 被写体までの距離[mm]
f : レンズ焦点距離[mm]
d : ピント位置からボケ光源までの距離[mm]

 この式を利用してボケの大きさを計算してみる。


・35mm判換算50mm F1.4 ピント位置1m ボケ光源1mの場合
 35mm判の場合、上記の式をそのまま利用して計算すればいい。
δ = 1000*50^2/(1000*1.4*(1000+1000))
δ = 0.893 [mm]

 また、比較対象として35mm判換算倍率2倍のm4/3を想定する。焦点距離が換算50mmであること、また撮影した画像を35mm判のものと同じ大きさで鑑賞する場合、拡大率も2倍になることを考慮して式を変更する。アスペクト比の違いは無視する。
δ = d*(f/m)^2/(R*F*(R+d))*m
m:35mm判換算倍率

 この式で計算を行うと、
δ = 1000*(50/2)^2/(1000*1.4*(1000+1000))*2
δ = 0.446 [mm]
 となる。

 式をよく見るとmは分子で逆2乗、更に拡大率で1乗されているため、ボケの大きさは換算倍率に反比例することがわかる。
 計算結果は有効数字を3桁で丸めたため正確に2倍にはなっていないが、丸めない場合は正確に2倍となる。
 また、ボケの大きさに関してはF値も換算倍率倍したときと同じ大きさになる(m4/3 25mm F1.4 → 35mm判 50mm F2.8と同等)と言われるが、式を見ればその通りとなるのがわかる。


・実焦点距離50mm F1.4 ピント位置1m ボケ光源1mの場合
 今度は同じ焦点距離のレンズを用いた場合で計算する。
 35mm判の場合は上と同じδ = 0.893 [mm]となる。

 m4/3の場合、計算式は以下となる。
δ = d*f^2/(R*F*(R+d))*m
δ = 1000*50^2/(1000*1.4*(1000+1000))*2
δ = 1.79 [mm]
 式を見ればわかるが、像面でのボケの大きさは同じであり、単純にmがかかるだけなのでボケの大きさは換算倍率倍になる。
 同じレンズを35mm判とAPS-Cなどで使った場合は、画角は全く異なるがボケの大きさ自体は小フォーマットのほうが大きく見えることになる。


・実焦点距離50mm F1.4 ピント位置35mm判で1m、m4/3で35mm判と同一像倍率となる距離、ボケ光源1mの場合
 同じレンズを用いて、メインの被写体が同じ大きさに写る条件で考える。
 35mm判でのボケの大きさは同じδ = 0.893 [mm]。

 m4/3ではまず撮影距離を求めなければいけない。
 35mm判で50mmレンズを使用し、撮影距離1mのときに写る範囲が換算倍率mのときに同じ範囲となる撮影距離を求める。
 この距離は、過去記事の大きさと距離のわかっている被写体に対して所望の大きさで撮影するのに必要な焦点距離の式を使えばわかるが、単純に換算倍率倍になる。m4/3の場合は2mだ。
 この条件では
δ = d*f^2/(R*m*F*(R*m+d))*m
δ = 1000*50^2/(1000*2*1.4*(1000*2+1000))*2
δ = 0.595 [mm]
 となる。
 換算倍率ぶんだけ小さくなるような単純な計算にはならないが、他の距離条件でもボケは小さくなる方向だ。

 以上の計算から、経験上わかりきった話ではあるがやはりフォーマットサイズが大きい方がボケが大きくなることがわかる。2番目の条件だけは小フォーマットのほうがボケが大きいが、撮影される写真があまりにも違ったものになるのであまり参考にはならないだろう。